石とバナナ・岩と花
東南アジアセレベス地方のトラジャ族の伝承 大林太良・ミシェル・パノフ他『無文字民族の神話』所収大林太良「東南アジアの神話」より
昔、天地の間は近く、神が縄に結んで贈り物を降ろしてくれていた。ある日、神は石を降ろしてきた。われわれの最初の父母は「これをどうしろといわれるのか?何か他のものをください」と頼んだ。
かわりに神がよこしたのはバナナだった。そして神はこう言った。
「お前たちはバナナを選んだから、お前たちの生命はバナナのようになるだろう。もし石を選んでいたなら不変不死を手にしただろうに」
バナナの木というのは実を結ぶと枯れてしまうのである。
全く同じような神話が日本にもある。
天孫ニニギノミコトの神婚神話である。
大山祇の娘・コノハナサクヤビメを見初めたニニギに対して、大山祇はもうひとりの娘である醜女イワナガヒメをも押しつける。しかし一目見たニニギは彼女を送り返し、妹のコノハナサクヤだけをめとってしまう。大山祇は怒りこう言う。「天孫の命は花のようにはかなく短いものになるだろう。イワナガヒメをめとっていれば永遠の生命を手に入れられたものを!」



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