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●『丹後国風土記』竹野郡船木里の条

「竹野の郡船木の里の奈具の村に至り、即ち村人等に謂ひけらく、『此處にして、我が心なぐしく成りぬ。(古事に平善きをば奈具志と云ふ。)』といひて、乃ち此の村に留まり居りき。斯は、謂はゆる竹野の郡の奈具の社に坐す豊宇賀能賣命なり。」
「丹後風土記「比治山の天女」伝説に出てくる天女(豊宇賀能売命=豊受大神)が祀られている。
風土記によると「ここに来りてわが心奈具志久なれり」とあり、奈具神社の由来はこの奈具志久(おだやかに)という言葉
による。」
奈具岡遺跡 (inoues.net)

はごろも伝説、浦島伝説など丹後半島は伝説の宝庫。渡来の福井と対面し、半島からの移住者も
多い。緑色凝灰岩(グリーンタフ)の産地でもある。

京都府京丹後市弥栄町奈具
上記サイトによると玉造工房遺跡である。銅鐸も出てくる。

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地名由来記事ではあるが、記録の記述はおおむね信頼性が乏しい主観的記事ばかりである。ここにはいわゆる「なぐ」=「凪」=心が静まった、から来るとあるが、奈具岡遺跡で鉄製品が多量に出たということから「なぎ」=「さなぎ」=スラグと観るのがよいだろう。

神社祭神は豊受大神であるので、丹後の氏族が天皇家に奉仕した、つまり近畿一円に存在する元伊勢=天照御霊神をもって回って各地にアマテラス信仰を広めた氏族だったことの証明になろうか。

玉や鉄器を大王家に献上したのだろうが、それ以前は日本海らしく銅鐸圏内の小国家だっただろう。

「「さなぎ」の語源は「細鳴き=かぼそく鳴く」で、鉄器製造の時の音をさし、さらに、蛾の蛹もつまむとか細く鳴くことから来ている。スラグとは鉄滓(かなくそ)である。



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画像はすべて上記奈具岡遺跡 (inoues.net)