み;南部九州の古墳空白地帯

薩摩半島を中心として鹿児島にはまったく古墳文化が行き届かなかった地域がある。その地域は半島の海岸線をおおいつくし、ちょうど700年に蜂起した隼人の反乱の中心地に重なっている。
揖宿郡を中心とした一帯である。
この地域にはいまだに絶海にせり出した人馬のちかづけぬ陸の孤島のような場所があるという。

この地域は「衣の君」伝承が残され、その祖神を小橋の命とも言う。
小橋命は神武天皇の日向における妻である姶良比売の兄で、神武とともに東征につきしたがい、現在大阪市鶴橋にある比賣許曾神社の社地の旧地となっている大小橋命廟に祭られた神ではないかと考えられる。

姶良という地名は阿多の隼人の本拠地である天孫降臨の山・霧島岳付近にもあるが、この氏族に比定される史実の登場人物として、個人的には大伴氏、あるいは曽の君が考えられる。