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南方系神話の検討は一昨年2006年にこのブログを始めた当時、最初に犬祖伝説などから様々に分析している。当時は日本人南方起源に偏っていたことは確かである。
その後、宝来聡氏や尾元恵一氏の遺伝子分析結果が出てきて、埴原氏ら文化人類学の南方からの来訪説は一時的に衰退していたのである。
それがなぜまた南方諸国の祭祀を検討し始めたかと言うと、縄文時代からの家畜である犬、ヤギなどの遺伝子が南方経由であるとしか考えられないこと、稲作の陸稲遺伝子もまたどう考え直しても江南どころかフィリピン~台湾沖縄ルートがあったとしか思えなくなったことが一番の理由である。

祭祀、家畜、稲作、製銅製鉄鉄文化の多くが、日本ではどうしても南方起源である。

さらに開始されてまだ間もないDNA分析からの人類学アプローチのサンプルの少なさがある。
日本は岐阜県現代人の大量サンプリング(600人)が成功して以来、だんとつで世界の遺伝子サンプル保持王国となった。しかしその全体数というと、せいぜい800~1000に満たないのである。しかも内容はほとんど現代人で、肝心の縄文、弥生人のサンプルは入手が難しいこともあって、わずかに数10件程度。これで十分と言えるだろうか?

これが遺伝子分析が先駆けた世界となれば、一回の分析に集めたサンプルは100とか120とかのサンプルがある程度で、そこから論文が作られているのだ。例えば世界の三大民族のサンプリングをした学者が集めたのは、白人10数人、アフリカ人数人、アジア人数人・・・・それで結果を導いてしまっていいのかどうか、今のところおぼつかぬ感は否めないのである。

それでバイカル湖起源を再度見直そうと。
本当にそう決めてしまって良いのかである。

この図が示すように家畜の多くとイネのDNA遺伝子は非常によくにた経路で九州南部や北西部に最初に入ってくると推定できた。確かに考古学的にはプラントオパールやブタ、ヤギ、馬などが出てくるから合致しているわけである。

それなのに、人間だけはバイカル湖周辺の北方系DNAが我々の血液には充満しているというのである。
そんな奇妙な話はないはずだ。

となると、南方には南方系DNAしか持たない人種(古モンゴロイド)が存続してきた、という定説そのものが見直されねばなるまい。
つまりもっと太古にあった氷河期に、獲物を追って南下してきた北方系民族が江南以南に少数ずつ住み着かなければ、北方系伝承、神話、シャーマン祭祀形態の南北の類似はあり得なかったのではなかろうか?

次の記事で、その概略図を載せる。