精霊ピー
東南アジアタイ族の信じる精霊
これはこの精霊に限らずであるが「浮動するピー」と「去来するピー」そして近年の「常駐するピー」の三つの時代的な観念がある。原始信仰の時代的変遷概念は文化人類学者の岩田慶治氏による。

第一期 浮動するピー
神格は未分化で、時にさまざまな鳥獣虫魚草木となって出現する。巨石、巨木に顕現し、そのつど祭祀場を設け贄を捧げる。

第二期 去来するピー
神格は来訪神。
A 村人それぞれの精霊の中からピーが選び出され、森の中の小さな祠(ほこら)に祀られる。しかしピーはここに常駐はせず、祭り方、村人の祈りに応じて現れ、そして去って行く。ゆえに巫女が出現しピーの去来を占い、その意志を代弁(託宣)するようになる。

B ムラを守護するピーのほかに、広域な国の守護者としてのピー観念ができてくる。
 呪者は神業をやって見せたり、神楽のような舞いが生まれる。

C 呪者、巫は司祭の役目を確立する。祭は組織化した。また家ごとにも祠が設けられ、家々にピーが宿ると信じられるようになる。精霊も核家族化するか?これは稲作の発達に伴って変化してきた。すなわち生活の安定が信仰を個人化させるようになる。これは日本でも各家庭に神棚を作るようになるのと同じ事である。悪く言うと文明によって集団の祭祀が薄くなり、簡易化した個人的祭祀へとなる。自分勝手の始まりは文明の進歩とともに進むということらしい。助け合わなくてよくなるからだろうか。都市型祭祀への移行。

第三期近年の常駐するピー
すでにピーは去来しない。バンコックで最近多く見られるプラ・ブーム(屋敷の敷地内の片隅に建てられる柱上祠)のようにピーも屋敷神となった。ムラ組織は解体し、信仰も個人的に変貌した。日本でも会社の屋上に神社を建ててしまう人がいるが、あれとおなじこと。違うのはそれを社員にまで押しつける困った社長の存在。

当初、ピー信仰は来訪する山の神で、これは世界共通の原始信仰である。

ピーに関するおすすめ紀行サイト→http://blogs.yahoo.co.jp/hikaruno_season/16583462.html