ゴサイン

インド、ビハール州ラジマハール丘陵に居住する焼き畑農耕民・パーリア族が信仰する山の精霊(来訪神)。
ダパニ村では集会所に長い竹竿=ジャンダを立て、その下にカンドウ・ゴサインという「ムラの神」がいると信じている。いわば日本のボンデンや朝鮮のソッテのような風習である。
春4月、ヤギ、ブタ、ハトなどを供犠としてこれにささげる。
集落から300㍍ほど離れた場所にある林を聖なる林・ツンタナといい、ここにはサル・ゴサインがいる。
2~3月にここに村中の男女が集まり、村祭りが開かれるが、若い男女は自由に交歓しあう「歌垣」(男女交歓)が始まる。ちょうど日本のお祭りの歌垣と同じである。数年に一回盛大な祭になり、このときは水牛・牛などの大型動物も供物となる。
カンドウ・ゴサインはムラの神であると同時に「かまど神」でもある。これだけが竹竿の下におり、ほかのゴサインは巨石や大樹に寄ります。
どこの聖所でも供犠のどす黒い血痕が見られる。
日が沈んでから聖所へ行ってはならない。ゴサインは荒ぶる神で、時としてひどい祟りをなす。
このムラの人々は聖なる場所ですぐに憑依状態に陥ることができる。

収穫のときには、トウモロコシなどを一カ所にすべて集め、その上を憑依したシャーマン(デマノ)が裸足で飛び跳ねる儀式がある。またこの時期、収穫がすべて終わらないとゴサインは去らないので、農耕のすべては裸足で行われる。
収穫された穀物の初穂は箕に入れられ、そこに供犠の動物の血液がかけられる。
日本でも縄文時代にはこうした供犠と血液によって作物を浄める儀式があったと思われる。

次回の精霊はピー、そしてニア・ター。