浦島伝説と海部氏および日下部氏などの海人族を理解するためのいくつかのマニアな考察①

伴信友『正卜考』(せいぼくこう・天保15年・1844年)が収集した亀卜(キボク)の呪文のひとつ。

亀卜する者は亀の甲羅に小さい正方形をいくつか書き込む。これを「町」と呼ぶ。

この「町」の裏側から甲羅を焼くわけであるが、町はその目安となる。焼くのに用いる木材は地域によってさまざまだが「ははかの木」といい、例えば対馬の豆酘(つつ)では山桜の枝を用いる。

ついでながら、この「つつ」という地名は湾処地形に多い。浦島伝説のある宮津の筒川の「つつ」も若狭湾あるいはその中のリアス湾処のひとつを指すかと思われる。住吉の神がやはり「筒の男」と表記されるが、これも「津津」からであるかも知れない。ちなみに「酘」の文字の上代音韻は「トゥ」である。時代を経て「ツ」へ変化した(福岡や熊本の山門地名も「ヤマトゥ」)・・などと考えつつ、続きをどうぞ。

正方形の升目を目当てに順番に焼いて行くが、このとき表題の呪文をつぶやく。
やがて甲羅は煙とともにヒビが入りだす。これが破れるまでになると、おもむろに薄い墨をしみこませる。すると裂け目がはっきりと浮き出るから、そこから神意を読み取るのである。

この呪文の意味は「水・火・木・金・土」の五行からであるが、なにゆえこのようななまり方となったかは知らない。五行は色で言えば黒・赤・青・白・黄となり、これは浦島伝承のある天橋立薦神社浦島神社の伝える「五色の亀」記述にリンクしており、いずれも五行思想から出た言葉と考えて良い。
方角では左から順に北、南、東、西、最後の土が中央。
季節なら冬・夏・春・秋・土用を指し示す。人体ならば腎臓、心臓、肝臓、肺臓、脾臓。

浦島さんが乗る五色の亀とは卜いに使われる亀なのであ~~る。

参考文献 高橋大輔『浦島太郎はどこへ行ったのか』新潮社 2005
この本は「おもろ~」です。