97f5823d.jpg

■佐知平原地区丘陵内林道沿いの神護石(朝鮮式山城の石垣跡)

大分県中津市上ノ原(うえのはる)遺跡
9455e450.jpg

写真は中津市三光村全景。このすべてが遺跡である。

2009年までに発掘された大分県の遺跡 5,688ヶ所のうち最大数の遺跡集中地帯。
福岡県の渡来人密集地であった旧豊前国南部吉富町、大平村とは 山国川を挟んで対面する位置にある。
上ノ原台地と三光村佐知地域のほとんどすべてをふくむ洪積世~沖積世河岸段丘および沿岸域全体に広がるおびただしい遺跡群の総称である。
縄文時代から中世、江戸期にいたる長い歴史の遺跡がここにおりかさなるように集中している。
すでにほとんどが埋め戻されている。
57c27bff.jpg



国道10号線佐知(さち)バイパス(現10号線)工事に伴って続々と出土した遺跡群、相原廃寺、相原山首方形周溝墓群、民間人の横穴古墳群、円墳、縄文遺跡、古墳群、弥生時代中期の渡来人の痕跡、奈良時代の条里道路・水路跡らしき遺跡などなど、それこそ枚挙に暇のない東九州最大規模の「渡来人跡」である。
現在、ほとんどの遺跡は埋め戻されてしまい、いくつかの保護遺跡以外はその痕跡を見ることはまずできない。
67def6d6.jpg



国道10号線三光交差点南側のイオン三光(ジャスコ)から山国川沿いの広大な佐知地区に広がる無数の遺跡群と、北側の上ノ原台地から加来(かく)・大貞地区の薦神社のある大貞にまで及ぶと考えられ、東九州における古代最大規模の渡来遺跡である。
そのすべての遺跡が記載されているのが以下のサイト。
http://www.isekiwalker.com/pref/%E5%A4%A7%E5%88%86%E7%9C%8C/1
ただし全10ページに及ぶ詳細遺跡である。
すなわちここは縄文から中世に及ぶ長い町だった場所であり、対岸が秦氏居住地になる塔里地区=唐原と登美地区=吉富町である。

<めぼしい遺跡群概要>
■坂手クマ横穴群 上ノ原横穴群の北側に連続する傾斜面に立地
■ 坂手前横穴群 同上
■鶴市神社裏山古墳 同段丘上面に立地
■ ヘイハタ邸1号墳 2号墳 5世紀後半
1号墳は直径20mの円墳で、主体部の小形 竪穴(たてあな)石室 からは刀が発見された。
2号墳は南北10m、東西12mの周溝墓( 方墳(ほうふん) )で一方の隅が陸橋部となっている。
主体部は小形の竪穴石室である。周溝から出土した 土師器(はじき) によって5世紀中ごろ前後に造られた墳墓と考えられている。
■上人塚
■ 勘助野地1号墳 2号墳 5世紀初頭から中ごろ
一辺が20.6mの方形周溝墓で溝の幅は約3mある。主体部は組み合わせ 箱式 石棺(せっかん) 石蓋(せきがい)土壙 木棺(もっかん) の3基で、箱式石棺からは 剣 刀子(とうす) 鎌(かま) 鋤(すき) 先 櫛(くし) 勾玉(まがたま) 切小玉 丸玉 管玉(くだたま) ガラス小玉などが発見された。また石蓋土壙墓は小児用のもので、副葬品はない。木棺墓からの出土品は、管玉 ガラス玉のほか鎌と鏃があった。5世紀中ごろの築造とされている。 
「この一帯は5世紀後半以後のまとまった墓地であったことが伺われる。ヘイハタ邸1号墳、2号墳、勘助野地1号墳ならびにこれに隣接する墳墓群22基(石蓋土壙墓5 木蓋土壙墓1 組み合わせ式木棺墓1 土壙墓14 火葬墓1)を調査している。」
■上万田遺跡 (弥生終末~古墳時代初頭) 山国川右岸に立地
■佐知遺跡 同上 佐知バイパスにともなって調査
■山国川左岸 沖積地
中津バイパスに連続する一連の調査によって弥生終末~古墳時代初頭にかけての大規模な集落がある。
■相原山首遺跡・方形周溝墓群画像・弥生時代中期の墳丘墓群で、現在中津市葬祭場風の丘敷地内に復元。
701cdc4e.jpg


22a522ee.jpg


becb18a4.jpg


12a596bd.jpg


■相原廃寺及び垂水廃寺(たるみはいじ)
多くの新羅系軒丸瓦および若干の百済系瓦出土。
 7世紀の終末ごろ、山国川の両岸にそれぞれ出現。
■上ノ原横穴古墳群 5世紀後半~7世紀前半の長期的な民衆墳墓。中津市三光
 上ノ原横穴群は、下毛郡三光村大字左知の 山国川 東岸段丘の傾斜面に、5世紀後半から7世紀前半にかけて営まれたものである。 横穴群 のある段丘上一帯は標高30m前後の「下毛原」と呼ばれる 洪積世(こうせきせい)台地 で、上ノ原と通称されている。横穴群が営まれた傾斜面は地質上、下位から洪積世砂 礫(れき)層-同風化砂礫層-薄い ローム層 -黒色腐植土層( クロボク 層)-表土層の順に 堆積(たいせき)しており、横穴はこのうち風化砂礫層に掘り込まれている。横穴ならびに周辺の発掘調査は、一般国道中津バイパスの工事に伴って昭和56年より行われ、80基あまりの 横穴墓 をはじめ 勘助野地遺跡 ( 方形周溝墓 土壙墓(どこうぼ) )などが調査された。
この地域の横穴墓はひとつの遺跡に百以上の墓穴を持っており、弥生時代中期から後期に大集落があったことが考えられる。
「埋葬人骨のDNA分析を加味した形質人類学研究では、父と子、孫の追葬が認められるものの、母に当たる人骨がみられないことから、父系血縁者のみ埋葬されて、配偶者は同一横穴墓内に葬らないという原理があったらしいと考えられています。当時の風習や規制を考える上で、非常に興味深い事例です。 」http://www.town.yoshitomi.lg.jp/p/1/9/2/27/2/9/

関連■山国川自然堤防上遺跡群(吉富町) 後期後半から終末期甕棺墓(かめかんぼ)
この地域の首長あるいはそれに次ぐクラスの墳墓と推定。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「〈上ノ原横穴群調査の成果と意義〉
一般に横穴墓は、非常に群集しているうえに既に開口しているものが多く、たまたま手付かずのまま調査した場合でも出土品が石室古墳などに比較して貧弱なことから従来どちらかというと軽視されがちであった。しかしこのような被支配層の墳墓を無視した地域の歴史ははなはだ不十分なものと言わざるを得ない。この点において、周到な計画のもとに極めて慎重に行われた上ノ原横穴群の調査は十分に評価することができる。」

 「〈家父長家族の墳墓?〉
調査したおよそ80基の横穴群は、小さい谷によって2グループに分かれ、さらに3~4基から成る「最小単位」が北側で11~12、南側で8~9認められ、北側のグループには武器類(刀 馬具)の副葬が多く、南側のグループには 貝輪 や 銅 釧(くしろ) などが多いという特徴をもっている。「最小単位」をなす3~4基の横穴は、短い墓道が下降するやや小形のものと、10m前後もあるながい墓道をもったやや大形のものの二つのタイプの横穴から成り、ほぼ等間隔に分布するが、古い段階に営まれた墓道の短い横穴が長い墓道の間に挟まれて存在するという興味深い対照をみせている。つまり、まず墓道の短い横穴がある間隔で営まれ、これによっておのずから「最小単位」の占有地が決まりその範囲のなかで「最小単位」の後続する横穴が造られることになる。このことは「最小単位」なるものが、ある「造墓主体となる単位」に対応していることを示している。これがいわゆる家父長家族であるかどうかは別の角度からの検証が必要になってくるが、横穴から出土した多数の 人骨 の検討によって、「同一横穴墓内には熟年男性を中心に同一の血縁集団の人骨が認められ」、「父親-子供の関係で埋葬されるのが基本原理」としている。また、「初葬の熟年男性は、 屍(し)床を持つか 鉄刀 の副葬が認められるなど特別な扱いがなされているのが特徴」という。」

 「上ノ原横穴群の調査はこのほかにも、墓道の遺物や堆積情況の綿密な調査と玄室内部の人骨や副葬品との対比から墓前 祭祀(さいし)の実態を明らかにしょうと試みている。詳細な報告書の刊行が待たれるところである。」
http://www.e-obs.com/heo/heodata/n48.htm

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

調査文献や資料
『上ノ原横穴墓群Ⅰ・Ⅱ・写真図版編』平成元年
『樋多田遺跡・森山遺跡・寺迫遺跡』平成四年
『一般国道10号中津バイパス埋蔵文化財発掘調査報告書 (5)』平成五年
『一般国道10号宇佐道路埋蔵文化財発掘調査報告書 (1)笠松遺跡』平成五年
『山国川-恒久橋架替工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書 上万田遺跡』平成五年
『九州横断自動車道関係埋蔵文化財発掘調査報告書(3)小迫墳墓群』平成五年
『大分県文化財調査報告書第92輯大分の装飾古墳』平成七年
『山国川-恒久橋架替工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書上万田遺跡(2)』平成七年
『大分県文化財調査報告書 第113輯上ノ原平原遺跡』平成12年
『九州横断自動車道関係埋蔵文化財発掘調査報告書 (16)四日市上ノ原横穴墓群』平成12年
http://bunka.oita-ed.jp/05shiryou/09siryoko/02%20maizoutosyo/tosyo02.htm

面白いと思ったらクリックよろしく!↓

If you feel this article if interesting, please make a ranking click. I ask!
↓       ↓          ↓
にほんブログ村 歴史ブログへ(文字をクリック)
にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・古代史へ(文字をクリック)

ご注意:すべての記事に「ヤフーブログ専用の見えないIP読み込みタグ」がついています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Kawakatu他のサイトへのリンク