大林太良が『正月の来た道』(1992 小学館)で紹介した中国貴州、プイ族の祭。豊穣を祈って村中で石を投げ合う奇祭。互いに死者が出るまで終わらない。
この祭が最悪の事態を招くことになる。

「2008年7月4日、貴州省政府は黔南プイ族ミャオ族自治州甕安県の大規模暴動を理由に、甕安県委書記の王勤(ワン・チン)、県長の王海平(ワン・ハイピン)の県行政トップ2人を解任した。新華社が伝えた。」「6月28日、甕安県で住民数万人の暴動が発生。政府庁舎、パトカーなど車数十台が燃やされる事態にまで発展した。事件の発端となったのは15歳の女子中学生の死。性的暴行を加えられた後殺害された、警察は加害者とつながりがあるため事件をもみ消したとのうわさが広まり、住民の怒りに火をつけた。」「貴州省の石宗源(シー・ゾンユエン)委書記は鉱山資源開発、移民への対応、開発に伴う住民移転など市民の利益が損なわれる事態が続いていたことが暴動の背景にあると話し、また暴動の鎮圧に際してむやみに警察を動員し事態を悪化させたなど同県共産党委員会、県政府、県公安局及び関連部門には大きな責任があると指摘している。」
http://www.excite.co.jp/News/china/20080705/Recordchina_20080705018.html

まさにそれまでの祭祀の長い歴史が、そのまま社会に反映されたと言ってよいだろう。
もともと投石によって憑依してきた人々が、昨年は怒りによって憑依したということになろうか。

大林は、このような模擬戦争のスタイルを持った祭は日本にもあったはずだと考えた。日本、朝鮮、南中国(江南)の民族に共通のいくさごっこ憑依である。
日本の古代の遺跡では、天理市布留などで出て来る銅鐸の絵柄に戦士の図柄があることなどから、これらももしや石合戦祭祀の可能性もあるのでは、というわけである。

筆者が学生時代、大学は学生運動盛んだったために、まだその残照がキャンバスにはあって、よく中核とか書いたヘルメット軍団の投石合戦があったものである。目の前で可愛い姉ちゃんが勇ましく赤や黒のヘルメット姿で石を投げていたが、相手のつぶてが見事に顔面に当たったのを至近距離で見た。顔中血だらけになりながら、その姉ちゃんは男にかばわれながら去っていった。あれも今となって考えたら祭、戦争ごっこだった気がする。

こういう祭で吉凶を占う行為、あるいは祭祀形態が、例えば遺跡から出たとなると、とりあえず学者は「戦争の跡だ」という判断を下さざるを得ないのであって、そこに祭祀観念があればいくさではないのだが、なかなか判断は難しいそうである。例えば頭に羽飾りなどをつけた遺体があれば、そしてその飾りがあまりいくさに向かないような大げさなものだったりしたら・・・いや、それも、例えば中世の武士などは実践に向かうのに派手なよろいに身を包んでいたりするから、一概に結論できない。むしろ、死を覚悟した本気の合戦ごっこであるはずで、いつ死んでも後悔ないように、村人はいつもより着飾ったはず。
つまりハレの衣装で死ににゆくのを望んだことだろう。

石が本格的武器になることもあっただろう。
となるとこれは合法的な殺し合い・・・つまり戦争になってしまう。問題は死者何人出たら寸止め、いやさ、試合終了になるかの判断を行う第三者がいなくてはなるまい。でないといつまでも終わらない、それこそ本当のいくさになってしまう。憑依するとはそういうことだ。ベトナム戦争に行ったアメリカ兵も「殺さなければ殺される」という強迫観念の中でトリップしたと聞く。
トリップしなければ、焼夷弾でえぐられた身体のまま敵に突っ込むなどできるはずがない。腹からはみ出すハラワタを押し込みながら突進せねばならない。それが本物のいくさである。

古代人は賢かった。いくさを祭としたことで、フラストレーションを解消し、狭い世界で起こりがちな鬱憤憤懣の爆発をうっちゃったのである。現代人の場合、会社や組織にそういう機会はないだろう。運動会?花見?そんなものじゃ役に立たないから二次会、三次会とはしごしたあげくに隣同士喧嘩してみたりするんではないのか?もっとリアルな擬似殴り合い大会をしたほうがいいんじゃないか?ほら、あそこのヒラが、課長のあんたをにらんでいるぞ。月の明るい夜ばかりじゃないぞ。
気をつけろ!

なお、投石祭を扱ったサイト、ブログがなかったので、記事にしておく。これがネット初出記事である。筆者はこれで充分にストレスが解消する。ご精読感謝。
10e0be08.jpg



画像は元寇絵巻
面白いと思ったらクリックよろしく!↓
If you feel this article if interesting, please make a ranking click. I ask!
↓       ↓          ↓
にほんブログ村 歴史ブログへ(文字をクリック)
With2ブログランキング歴史へ https://blog.with2.net/in.php?686171
ブログ王歴史へhttp://www.doramix.com/rank/vote.php?id=46384/ランキングはこちらをクリック!



ご注意:すべての記事に「ヤフーブログ専用の見えないIP読み込みタグ」がついています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Kawakatu他のサイトへのリンク
●Kawakatu’sHP マジカルミステリーコレクション渡来と海人
●Kawakatu’s世界史・日本史同時代年表 
  http://www.oct-net.ne.jp/~hatahata/doujidainenpyou.html
●推理推測ブログ復活版!かわかつワールド 
●日々雑感、写真、動画、料理、美などブログ心象儀館ささいな大遭難 
●BBS     http://8912.teacup.com/kawakatu/bbs
●全訳古事記  http://orange.ap.teacup.com/tasogaresakaba/
●アルバム   http://www.oct-net.ne.jp/~hatahata/fotalbum.html
●ビデオ・クリップ http://zoome.jp/hgnicolssutu/movie_list/