「風と死霊を結びつける考え方は柳田国(國)男にはじまる。柳田國男は「風位考」で、、まず「アナゼ」に着目した。戌亥から辰巳に向かって吹く風をアナゼといい、日本海側では出雲から南に下って九州の海岸。瀬戸の内海、東は摂津の西宮に及んで、紀州の日高郡にもあるという。そしてアナゼはアナシともいい、アナは昔から驚きの音であったから、これを悦(よろこ)ぶ風と解するのはむつかしく、予想せぬ風であるゆえに、常に不安を抱いて神に禱(いの)ることになったのであり、大和の纏向の穴師山(あなしの・やま)をはじめ、和泉、伊賀、伊勢、若狭などの穴師神社は、もと風の神を祀ったものと解される。大和の穴師山の地形からいって、あの山が風神(ふうじん)の本拠地であったと想像するにかたくない。都の西北に当たる竜田・広瀬の両社が風神を祀るのも、日本という国が西北から悪風を受けることと無関係ではないとしている。」(萩原秀三郎『鬼の復権』「タマカゼとカミの去来」)
三省堂「全訳読解古語辞典」によれば「あな」は感嘆符である。
凡例→「あなものぐるほし」更科日記
「あなや」雨月物語・吉備津の釜
「あなむざんや」平家物語・実盛
あとに続く言葉を強調したり、単独で驚き、恐怖、感情の高まりを表現する言葉で、「ああ!」「あれ」「まあ!」に当たる古語。
凡例→「あなものぐるほし」更科日記
「あなや」雨月物語・吉備津の釜
「あなむざんや」平家物語・実盛
あとに続く言葉を強調したり、単独で驚き、恐怖、感情の高まりを表現する言葉で、「ああ!」「あれ」「まあ!」に当たる古語。
大和纏向の穴師には大兵師神社(穴師坐兵主神社 あなしにます・ひょうず・じんじゃ)があることはすでに何度か述べている。
http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%B7%EA%BB%D5&sk=1
http://white.ap.teacup.com/kawakatublog/284.html
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土器製作と天皇陵造営に関わる渡来土木技術集団・土師氏(はじ・うじ)が大和の本拠地として珠城山古墳群を作っていた場所だ。纏向遺跡の北東にあって、記紀にある野見の宿祢と当麻の蹴速(たいまの・けはや)が相撲勝負した由緒ある土地である。
その「あなし」地名は北西の風である「アナジ」「アナゼ」から来ていると柳田は推測した。
そして筆者は「戌亥の隅」は仏教が来るまでは鬼門だったと考察した。→
「西は陰陽の酉であるが、北北西は戌亥。申、酉、戌の方位は金気の方角とされ、山師は非常に好んだが、実は仏教以前には北北西は鬼門である。鬼門を北東とするのは、仏教が丑寅の方位を北東とする中国からの伝承をそのまま使った。それで丑寅は牛と虎だから鬼は頭に角を持たされ、下履きは虎の毛皮をはかされる。
だから戌亥の隅は鬼が去る(申)方角というのが古い。」
http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%D8%FC%B0%E7%A4%CE%B6%F9&sk=0
そして筆者は「戌亥の隅」は仏教が来るまでは鬼門だったと考察した。→
「西は陰陽の酉であるが、北北西は戌亥。申、酉、戌の方位は金気の方角とされ、山師は非常に好んだが、実は仏教以前には北北西は鬼門である。鬼門を北東とするのは、仏教が丑寅の方位を北東とする中国からの伝承をそのまま使った。それで丑寅は牛と虎だから鬼は頭に角を持たされ、下履きは虎の毛皮をはかされる。
だから戌亥の隅は鬼が去る(申)方角というのが古い。」
http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%D8%FC%B0%E7%A4%CE%B6%F9&sk=0
鍛冶屋、船乗り、山師、炭焼きにとって北西の季節風は突風を吹かせるよい風であるが、ほかのひとびとにはとんでもなく恐ろしい風だった。だから職種によって偏西風や春一番、辰巳の風(南南東)、戌亥の風(北北西)は金・宝来にもなれば鬼・悪の象徴にもなった。
時の為政者が戌亥の風や辰巳の風を最も警戒した記事は『日本書紀』持統天皇紀における、諏訪に風の大祝・阿蘇神官が入って「風切り」神事が行われた話であろう(吉野裕子『陰陽五行と日本の民俗』)。
ちなみに阿蘇氏は神長官守矢氏となり、やがて諏訪の諏訪氏、金刺(かなさし)氏を出し、武田信玄に嫁を出す氏族となったと言われている。
→http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%B6%E2%BB%C9%BB%E1&sk=1
ちなみに阿蘇氏は神長官守矢氏となり、やがて諏訪の諏訪氏、金刺(かなさし)氏を出し、武田信玄に嫁を出す氏族となったと言われている。
→http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%B6%E2%BB%C9%BB%E1&sk=1
春秋の二度にわたる大風は、夏の台風同様、木造家屋がほとんどであった日本人を毎年おののかせた。火事の恐れもあった。一方、鍛冶屋や炭焼きはこの時期を逃さず竈に火を焚いて悦んだ。炭の火力が労せずして上げられるからである。何度も書いてきたように、ふいごが考え出されてもなお、炭焼き小屋や露天の鍛冶穴(野だたら)は扇状地の奥、北北西斜面に作られることが多かった。
最もわかりやすいのが大分県別府市の北西斜面に立地する鉄輪(かんなわ)地名であろう。ここには対面する実相寺古墳群の豪族が「かなわ」=野だたらを作り製鉄していたことを如実に表した地名として残されている。→鉄輪温泉、かまど地獄
最もわかりやすいのが大分県別府市の北西斜面に立地する鉄輪(かんなわ)地名であろう。ここには対面する実相寺古墳群の豪族が「かなわ」=野だたらを作り製鉄していたことを如実に表した地名として残されている。→鉄輪温泉、かまど地獄
「福井県大飯郡大島では有名な「ニソの杜」信仰があり、祖霊と考えられるニソの神を共同で祀り、旧十一月二十二日の深夜 献饌(けんせん)をニソの杜の祠に供える。この日は必ず荒天で、海も荒れる。」(早川幸太郎)
同様に若さでは二十三日を「ダイコシ吹き」の風が吹く日と定め、大師講を執り行う。いずれも風を切り、鎮魂する儀式である。
吉野裕子は「風切り神事」のさい、一般人の家屋の屋根にも刃物を立てる(かざきりがま・なぎきりかま)東国の風習や、長野県諏訪における薙鎌(なぎかま)神事などをあげて、それらがみな、風を抑えるための風習であることを看破した。
同様に若さでは二十三日を「ダイコシ吹き」の風が吹く日と定め、大師講を執り行う。いずれも風を切り、鎮魂する儀式である。
吉野裕子は「風切り神事」のさい、一般人の家屋の屋根にも刃物を立てる(かざきりがま・なぎきりかま)東国の風習や、長野県諏訪における薙鎌(なぎかま)神事などをあげて、それらがみな、風を抑えるための風習であることを看破した。
神社の多くが南を向くのは中国の天子南面す(てんしはなんめんす)から始まるが、それ以前には北北西を向く、あるいは南南東を向くことが多かったと考えられる。そして全国的にこの神事を司ったのが阿蘇大祝(おおはふり)である。したがって阿蘇神社における「うなり行事」=「御田祭」もまた風を抑える意味合いが含まれた人身御供神事であると考察されるわけである。
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