もともとは中国清王朝が台湾統治のために、原住民である少数民族たちを囲い込んで、首狩り・人喰い人種であった蕃民=少数先住民の侵入を防いだ軍事的境界線である。
つまり大元から、すでに「差別」意識に溢れた区分線。
世界的に存在する概念。

この問題は過去の悪習慣と思われるかも知れないが、実は中国では今の「自治区」がこれに相当する?
ウイグルや匈奴を囲い込む、あるいは埒内へ侵入させないという点では、万里の長城や中国独特の円形村落、あるいは城郭もまた隘勇の概念に抵触するのかも知れない。

根本は人種差別、区別に始まるが、少数民族への施策においては、当初懐柔と帰順政策から始まるのが常。帰順せねば壊滅が一般的だったが、同化という手段もある。

言葉の問題では、為政者側が言語を強制的に代えてしまう場合と、反対に先住民が多い場合は為政者側の方が現地語になれる方法がある。

日本の上方方言は、当時畿内に縄文の先住民が多く、ノーアクセントだったのに対して、自分たちを区別するために編み出されたと考えてよいだろう。

先述してきたことであるが、例えば吉野の十津川村のノーアクセント残存は、もともとそこがノーアクセント人種が先住していたという痕跡であろうし、結局は山の上と下で住み分けた結果であろう。また関東がノーアクセントなのも、やはり先住民が北上させられたからであろう。

いわば「暗黙の隘勇線」が引かれたと言い換えてもよい。

これに対する同化策はたいがい先住民歴史の「史書への不自然なピックアップと反映」「神話世界に反映」「強制的な人種のシャッフル」「神社祭祀への残存」などである。いずれも「神名の交換」「神霊の監視」に相当する。

これが「天狗」のように、外来の修験者に重なるのは、中間(ちゅうげん)としての身分制度を形成する必要からである。天皇の賤民として特殊化し、追いやる反面持ち上げたり、菊花紋の使用を許可したり、貴種落人由来を聞いても見ても、不問にしたりする。自由のかわりに平等を永遠に取り上げる差別などもそれ。都市へ行くほど顕著で、特に官僚在住地域の周辺に囲い込んで「かわら」などのスラム化を促進。
仏教のうばそくなどもやはり中間民で、遊民とされる。その区別は主として租庸調の内か外かで決められる。払うものと払わぬものでは、前者は人間のはしくれであるが、後者は動物である。これは日本だけで、古代から、被差別民は折の中にいる者としての扱いとなっている。折の内と外では、歴然と、見えない部分で差別が存続した。まず、世襲制、一子相伝などと言えば奇麗事であるが、実際は、ひにんの子が外に出ないようにした制度であった。いずれも人類が進化する過程において、乗越えねばならぬ、必然として生み出された概念。しかし、いまだ、すべては完結せず。真の解放もなく、心は閉鎖状態のまますでに1千年以上が経過した。

佐伯・蝦夷・大隅隼人・国樔・かつらぎ・土蜘蛛との区別が必要となると、自然、境界というものができてゆく。万里の長城同様に、日本では弥生時代初期に高地性集落が築かれた。一時的に存続するが消えてゆくことから、そのあたりでほぼ朝廷の統一がなされ始めたと考えられる。やはり河内王朝以降の傾向か?

いずれにせよ明治から戦中の日本人にも、このような中華思想が存在した。


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