■ここ10万年の気候変動グラフ
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このグラフはここ10万年間の気候変動グラフと人類文明のおおまかな拡散、定住への道程を示している。基礎画像は安斎正人『日本人とは何か』柏書房 2010から

図の下段に筆者が書き込んだ部分に「アトランティック期」の細かな変動が示してある。
今から約12000年前、地球にヤンガードリアス期という、とてつもない寒冷期が起こり1000年間続く。これが人類を旧石器時代から新石器時代へ、また狩猟採集から定住農耕へと世界的に動かし始める画期となったことはよく知られている。

■人類10万年のおおまかな動き
それまでまず10万年前の少し前くらいに人類は、一部のアフリカ定住遺伝子グループが分かれて、それ以外の因子を持つ祖先がアフリカ大陸を出てカスピ海の西側、シナイ半島周辺に出て来る。これが人類の「出アフリカ」である。この人類はネアンデルタール人になる一部の初期型アフリカ原生人類だった。
それがやがて新人クロマニョン人が誕生すると、さまざまの指向性が爆発的に開花し、人類の足並みは突然速度を増すことになる。

その当時はレバントからカスピ海沿岸まではまだ温暖でそこから以北には進めないでいたが、10万年前
あたりからようやく温暖になってゆくと次第に北上、東西移動を開始したと考えられている。

75000年前くらいにダンスガード/オシュガー・イヴェントという長い亜間氷期が始まると、温暖な数百年を幾度か繰り返していく地球環境にあわせて、次第に行動範囲が広まって行った。

そしてハインリッヒ・イヴェントの寒冷期を凍った大陸と海を越えて隅々にまで移動してゆくが、12000ほど前、一旦急上昇した気温が、突然急激にまた冷え込み始め1000年間厳寒の時期となる。

これが次第に回復していったのは、今の説では小惑星の海中落下による水蒸気のためだと言われている。
それは同時に海水面を次第に上昇させ始める。これが日本の縄文時代後半までつづく縄文海進の最初のきっかけである。

その後小刻みな上昇低下を繰り返す時期をアトランティック期と呼んでいる。
大きく二回の寒冷期を迎えている。このときいくつかの定住文明が滅びている。寒冷は定住には向かない。穀物などが育成できないからである。だから何度か人類は狩猟生活に逆戻りせねばならなかった。

その後、気温は一定化するが、小さな変動はあり、そのつどさまざまの事変が起きることになる。中国におけるスキタイや匈奴の南下や、民族の移動と混乱が起きている。

最後の寒冷期は8世紀から10世紀くらいに起きている。日本ではちょうど平安時代のほとんどが寒冷期だった。相当の平民が凍え死んだことだろう。これが室町時代には温暖化。

こうして見ると気候変動は人類を動かしもしたが、殺しもしたし、またあるときは繁栄させる最大の要因であり、それは今後もなんら変わることはない。万一、また寒冷期に入ったとき今使っている燃料資源が枯渇していれば、先進国と言えど、人類の全てが大量に死ぬ事になろう。

すると歴史、古代史をやるならば、この気候、少なくとも蒸気資料の北半球の変動くらいは、あるいは日本周辺の気候変動や、気候の地域特性くらいは把握しておいたほうがなにかと便利である。縄文後期になって人々は船で移動するようになるが、縄文海進は海の道の様相を今とはまったく違ったものにしたことだろう。船舶の研究家によれば、海面が数センチ上昇しただけでも、海図は一変するそうである。それが瀬戸内海のような非常に狭い海道をいくつも持った海では、随分難しい航路を通ることになっただろう。



これは瀬戸内海の、現在の「しまなみ海道」であるが、かなり通路が複雑で、今でも座礁や島に突き当る新人船長が多いそうである。ここ以外にも、播磨灘には淡路島との間の瀬戸や、小豆島から児島湾の小島群などが点在し、さらに穴門・関門海峡という鬼門のような狭い場所、豊後水道のように急流の瀬戸、また鳴門のような渦潮の海峡も存在する。

モーターで動く今の船さえそうなのだから、縄文、弥生人たちが、いくらでもすいすいここを通り抜けて半島にまで行っていたなどとは絶対に思えない。すると一番奥にある大阪湾・近畿地方がいかに安全なところかが見えてくる。熟練の海人族がいかに重要化がわかるであろう。海賊などと簡単に片付ける人もいるようだが、海人族が海賊なら、山猟師は山賊、農民平民は盗賊だったと言われても仕方がない、そんな時代は歴史上いくらもある。海人族はそもそもは貿易者である。



■日本の気候区分図
http://www.atariya.net/kiso/kikou.htm

■中学校で教える日本の気候区分図
http://jukenin21c.blog78.fc2.com/blog-entry-200.html

■世界の気候区分図(アニメーション)
http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/SUSTDEV/EIdirect/CLIMATE/EIsp0022.htm

■気候区分
一口に気候区分図と言っても気象庁の気候区分と、学校で教えている区分にはかなり理解の仕方の違いがある。
例えば、日本の気候区分は中学校程度の教材では上の②図のようにおおまかに、せいぜい
①北海道気候(北海道の気候)(冷帯気候)
②太平洋岸式気候(太平洋側の気候)
③日本海岸式気候(日本海側の気候)
④内陸性気候(中央高地の気候)
⑤瀬戸内式気候(瀬戸内の気候)
⑥南西諸島気候(南西諸島の気候)(亜熱帯気候)
の六種類を教えている。
すると「九州は南にあるから全部あったかい地域だ」と思うことになるのだが、実際には当然、高地・内陸部は寒く、雪も降ることがある。

九州を例にするならば、太平洋側は当然日照時間が長く、冬はほとんど雪はない。ところが玄界灘側は寒風が厳しく、東西に伸びた背振山山系から「せぶりおろし」が吹き降ろすから、佐賀、長崎、福岡は非常に寒い。まして豊前から中津、宇佐、別府あたりまでは意外なことだが気象庁の区分では山陰型気候に入り、冬は雪が日本海から吹き込んでくる。ところが別府市の高崎山~由布岳という連山の南側にある大分市以南はほとんど雪が降らない。
ところが同じ南側でも山間部の湯布院や玖珠町、久住町、竹田市などは12~3月まで零下3度まで下がり、終日雪にとざされてしまう。

このように同じ九州でも、地域別に見て見ると寒暖の差、降水量に大きな差がある。それは東北でも同じで、日本海側、内陸部の東西、太平洋側はまったく気候が違う。太平洋側山間部には雪が多く、日本海側山間部には意外と雪が降らない。これは日本海からの強風のせいであり、山に降る雪は東側斜面に巻き込むように吹き付ける。日本列島は日本海側は風が強く非常に気温が下がるが、降雪量はそれほど多大ではないことになる。もちろんこれも地形によって地域差はある。

関西と九州は相当緯度が違うと思い込んでいる人も多いだろうが、しかし大阪も大分中部も豊前地域も同じ瀬戸内型気候になって温度に大差はない。九州でいつも暖かいのは東側、太平洋側から鹿児島までの話である。その鹿児島でさえ、霧島まであがればやはり雪が舞うこともある。

こうしたことは、日本列島の複雑な地形が生み出すもので、当然、歴史的にも民俗の住み分けが細かくおこなわれたことであろう。雪に閉ざされることの多い南国宮崎の椎葉村に行くとまるで雪国のような景色が見られる。というか道路が凍てついてとても入れないし、高千穂まででさえ冬場はいくことができなくなることもある。

このように気候の地域的な違いは、氷河期から間氷期に移行する人類の移動定住にも相当影響しただろう。氷河期の一、二度の違いなどほとんど大差なく寒いわけだが、これが温暖期になるとその差は大きく感じられる。
するとどういうことが起こるかと言うと、冬は平地、夏は高地という避暑、避寒行動が必要になる民族がでる地域がある。例えば飛騨高山や白山といった中部地方の奥深い山間地では、冬場に東海や福井方面へ降りて行くものが出たことになる。するとそれは異文化交流を引き起こす。そのいい例としてよく取り上げられるのが民族楽器のコキリコやビンザサラの福井から東海静岡まで広がる民俗芸能の類似化がある。

ということは当然、12000年前頃からの定住への動き・・・つまり縄文人の動きにも影響したことがわかる。




この図を見れば、縄文人は次第に南下していったことがわかる。もちろん細かく区切れば、もっと何度も上下したことだろう。もちろんこれも人種の混交を引き起こす。それが弥生時代や奈良時代、室町時代などにはさらに混交が起きている。弥生時代には渡来人がやってくる。その前の縄文時代には海人族の北国貿易も存在した。いわゆる貝の道は、南海の沖縄→薩摩半島→島原・有明→五島・唐津→豊北→出雲→出石→東条湖→若狭→気比→富山湾→弥彦→八郎潟で多賀城のできるあたりまで行き着き、さらに北海道の小樽にまで貝を運んでいる。

そればかりか、唐津あたりからすでに壱岐・対馬・巨済島・チェジュド・珍島などなどに倭人の基地があったことも考古学から知られている(森浩一『倭人伝を読みなおす』)。この中継基地のいくつかは日本の倭人が住民のほとんどを占め、今もそのまま韓国人として暮らしている。半島海岸部には日本産石棺さえ出ている。石棺は重さが1tどころではない。そして石工たちは必ず加工してから運ぶのである。それが対馬海峡を渡った!(森)

室町時代の温暖化は西日本人の北上をかなり推し進めた。
こうして日本人は次第に混血して行った。


気候は人間の食生活ばかりか、衣食住のすべて、文明の発達、政治動向、経済動向、はたまたわれわれの体躯にまで甚大な影響を与える地球最大の神だと言ってもよいだろう。


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