民俗学者・柳田國男の代表的民話蒐集作品。
そのコレクションの基盤となっているのは『宇治拾遺物語』(中世)、『御伽百物語』(近世)などの拾遺集である。

したがって、この作品が柳田がそのほとんどを現地に赴いて村民・佐々木喜善(ささき・きぜん)から蒐集した民話、昔話、恠異譚であるというこれまでの認識はかなり間違った認識と言えることになる。もちろん話のベースに彼の口述がきっかけとしてあることは否定すべくもないが、これをベースにして柳田は前出資料を組み合わせ、かなりの潤色、脚色をほどこした「説話文学」が「遠野物語」であると言える。

参考 小松和彦

遠野の中世から近世にかけての、よそとは異なったムラとしての特殊性の原点にはそこが「金山」のある村であったことが大きく影響している。上郷・六角牛山(ろっこうしやま)などの奥地に金山師、木地師たちが多く住み着いていたことが、民話の題材、妖怪変化の題材、座敷ワラシなどの神霊譚の底辺に存在する。


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