■墳墓とジェンダー論
岡本健一らが主張する
前方後円墳=壷
壷=蓬莱山説にわれ物申す。

岡本健一たちは前方後円墳の起源を中国神仙思想の蓬莱思想に求め、形状としては山、あるいは壷から始まると考察している(『第十回春日井シンポジウム 東海学と日本文化』岡本健一「前方後円墳は蓬莱山がモデルか」)。その考え方、方向性は間違いではないだろう。

ひとつ気になることは、考古学が前方後円墳の前身を、吉備の墳丘墓である盾築(たてつき)墳丘墓に見ていることと、壷の形状にはあまり近似値があるとは見えぬことだ。

それはさておき、これまで前方後円墳に以下の様な諸説が出ている。

蒲生君平       宮車説
浜田耕作・林屋辰三郎 盾説
中 清        鳥船説
原田淑人       家説
島田貞彦・原田大六
上田宏範・三品彰英  壷説、あるいは壷=蓬莱山説
R・スタン・岡本健一
辰巳和弘ら

都出比呂志      崑崙山説
森浩一・梅原猛    三輪山
松本清張・五木寛之  二上山

松本清張       男女の交合説
井本英一・河内良弘  人形説
以上、形状由来

これに付加して有力なのが
重松明久・山尾幸久
加地伸行       天円地方祭祀由来説

などなどである。

そしてこれらのすべてが「正しい」と言っていい。

ただ、これらの中国由来の神仙思想の由来の中で、岡本の説明で足りない部分がある。

それが大地母(だいちぼ)である西王母(せいおうぼ)の胎内=子宮という着想だ。
これは民俗学に関わるジェンダー(性)からの見方である。
信仰と思想と性は、古代において最も近しい間柄にあった。

蓬莱思想や陰陽五行思想の原初的発生の原点にあるのが、この大地母=山・大地・地球・宇宙・・・という発想である。すると、上記のすべての原点はみな民俗学的視点をやや欠いていて、あくまで男の、歴史学・考古学的発想にとどまっていることになって、もう一歩踏み込んだ女体・子宮・母の胎内というところにまで踏み込めていない気がする。

日本本土よりも中国の思想に深く触れてきた沖縄の墓(亀甲墓)を見てもわかるが、その形状は風水の、周囲を子宮の形に象った壁におおわれ、墓は前を子宮の入り口(大陰唇)に見立てている。




また古代朝鮮の思想では首都とは周囲を山に囲まれ、それは居城というよりも大陰唇に見立てている(「朝鮮の風水」および森弘子)。


前方後円墳という専門的語彙は、江戸時代に蒲生君平(がもう・くんぺい)が生み出した言葉を組みあわせたもので、そろそろこの用語は変更すべきなのだろうと思われている。

ロルフ・スタン(フランス東洋学者)『盆栽の宇宙誌』(1942年)に
「壷型をした崑崙山と蓬莱山は、不死のシンボルであり、壷型をした日本朝鮮の前方後円墳は、その縮図だ」と書いている。
奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所の、纒向発掘にも携わっている考古学者・寺澤薫(てらさわ・かおる)は
「前方後円墳の起源はいまや通説の天円地方説と新説の蓬莱山説に絞られた。」(『王権誕生』)と書いている。
また春日井シンポジウムにおけるこの岡本の壷=蓬莱山説を受けて森浩一は「岡本さんの(壷=蓬莱山)説は次第に真実味が出てき」たと絶賛している。

筆者は、基本的に岡本説には同意するが、さらに突っ込んだ前方後円墳形状=壷=蓬莱山=母なる子宮説を書き置くものである。





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