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ここまでは概論である。ここからが最新考古学で見る倭人伝。

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いつも書いているが、自分は、最初から「邪馬台国はここだ」から始まる学者・研究者の書いたものはアンフェア、学問とは言えないと思っている。
推理小説で言うなら、はじめのほうで犯人はここだが・・・などと書いちゃったら、もうその推理小説など誰も読みたくない。もちろん刑事コロンボなどのような、最初から犯人を登場させ、いかに刑事や探偵がそれに辿り着くかを楽しむ衒学(げんがく)推理小説というものもあるけれど、この場合はそれはなしである。
しかし、いろいろ読み深めていくと、たまにはそういう本に当たってしまうことがある。
そこでヤマト至上主義者の最新考古学・・・そんなものがあっちゃならんおであるが・・・からの分析を考察しておこう。俎上に登らせるのは西谷正『魏志倭人伝の考古学』学生社 2009 である。

◆西谷正・寺澤薫のヤマト至上主義的理論批判
まず二枚の図をごらんいただく。


魏志倭人伝に書かれている3世紀東アジアの政治構図である。
まず2000年、寺澤薫作成のもの。
西谷が自著に添付したものである。
d0279e4a.jpg


すでに邪馬台国や投馬国の位置が決め付けて指定してある。

次はそれを筆者が修正したもの。
あくまでも「倭人伝」記述に忠実に修正したもので、畿内説にも九州説にも関係ない。
陳寿が書いている通りの位置感覚である。

この図で一番大事なのは、3世紀東アジアの「東夷」の名と位置であり、楽浪・帯方郡の正しい位置である。また「会稽東冶の東」「女王国のはるか東大海にある」倭種の国と別種の島国の推測可能な位置である。
寺澤の図は明白に邪馬台国はヤマトであるという意図の下に作られている。
そして西山も、著書の途中で自分は畿内にあったと考えていると書いている。

これではだめだと思う。
「倭人伝」で絶対的に正しい國は奴国までである。それ以降は学問的に決定してはいないのであるから、こういうことを専門家が書いてしまうのがつまり「ヤマト至上主義」であると大半の心ある国民は考えているのが、伝わっていない。つまり畿内説はどこもかしこも、つねに独善的で、決め付けから始まるのである。ヤマト、畿内ではないとは誰も言っていない。九州だとも言っていないのに、勝手に決め付けている。専門家が決め付けてしまうのは、ちょうど原発・放射線研究者や地震研究者の独善性によく似ている。


◆倭人伝の方位は間違いか?

奴国まではまず間違いない。ただ前の記事で指摘したように、末盧国から伊都国への「東南」はあきらかに間違えている。実際には松浦・唐津から糸島半島は北東に位置する。陳寿の完全な勘違い、あるいは意図的な間違えである。

そしてフミ国からあとがどんどん南へ行かねばならない。
すると九州からはみ出すほどの距離感覚である。
しかし(帯方)郡から邪馬台国(国境・水野祐説)では万二千里である。
全工程で逆算していくと矛盾がないことに気づく。


◆ところが帯方郡はどこかが決まっていない
西谷も書いているのだが、実は基点となる帯方郡が正確にはどこだったかがまだ決まっていないことを御存知か?つまり基点も終点もわからないままで、邪馬台国位置論は距離を用いて矛盾をとこうとしている。こんなのはまったく科学ではないことに気付くだろう。
そのばかみたいな論考を200年近く、日本の専門家達はやってきて、中でも畿内説は無謀にも、方角さえも間違いだと決め付ける。こんな「あほうな」学問は学問ではない。
2973cade.jpg


楽浪郡・帯方郡
楽浪は今のピョンヤンの河川沿いにあることがほぼ決まっている。
しかし帯方郡には南北二つの説があり、距離的にかなり相違が出てしまう。
筆者は「西にある」という「東夷伝」記述からピョンヤン南部の半島にあったと思う。
「楽浪海中」は楽浪の前の海で、帯方郡も海に近いとある。

もちろん九州の中に押し込めようとしている九州説もご無体な話だが。

距離だけが問題点だと思っている。
方角まで間違えてはいない。

というのはすでに書いたが、倭人伝は二度も三度も「邪馬台国は伊都国より南」にあると口を酸っぱくして書いているのだから、少なくとも陳寿たちは南にあると決めているのである。これは確固たる信念で貫かれており、北東の畿内などはなからまったく分析対象にならない事項なのである。

もちろん、その陳寿の意図がどうだったかを持ってくるのなら、もっとそれを証明する事項を畿内説は挙げていなくてはならない。つまり畿内説は『三国志』そのものを間違いだらけのとんちんかんな史書と言っていることになる。




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