タグ:恋愛小説

 ワタシは、いったいなぜこんな過去の恋愛譚を、60過ぎた今頃になって書いているのだろうか?  それは記憶の確認。そして過去の自分の愛の形の間違いを、第三者としての現在の自分が、過去の自分に教えておかねばならないことに気づいたこと。しかし、映画でもなく、そ ...

 文学部学友会国文学専攻クラスの小さな個室というのは、正確にはなんというのかは知らないが、大宮学舎北側にある北黌(ほっこう)西端にあった円柱型の小部屋である。建設されたのは明治12年と古い。 そもそも龍谷大学そのものが日本最古の大学で300年以上の歴史があ ...

 その夏、キャンバスから消えたYは、夏休みにはカナダへホームステイしていた。そうらしいとは聞いていた彼は、密かに夏休みの課題の内容なんぞのサゼッションを書きしめた、大きな封書の手紙を実家へ何度か送っていた。 それまで互いにまったく知りもしなかったのに、いき ...

 1973年、彼が大学を京都に決めたのは、美術部時代から仏像・神像の模写ばかりしていたからだろう。 当時の京都の大学は、まだ学生運動の最中で、学内でもジグザグ行進なんぞが、小規模だがやられたり、時ならず赤ヘル、黒ヘルが投石しあい、女子学生が石が当たって顔面血ま ...

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