カテゴリ: ワタシの・アイシタ・オンナ

 彼はなぜ小説家になれなかったのだろう?時々考えることがある。少なくとも彼女はそれを望んでいたのではなかったか?あるいは詩人でもよかったはずだ。 けれど彼は自分の才能の活かし方を知らずにいた。そして社会に出てから、うまくいっていた会社をやめたあと、かなり ...

ここまで読まれて感じたはずだが、彼Junはオンナの顔についてたいした頓着がない。どちらかといえば、彼の興味は体形のほうに向く傾向にある。つまり面食いではないわけだ。彼の選択条件は、1 足が細くて胴よりも長い 2 色白3 顔はぽっちゃり丸顔、しもぶくれ4 性格 ...

  土曜日で講義は半ドン。はねてから深草駅で待ち合わせた。 京阪電車各駅停車三条行き。 彼女は乗車口のはじっこに立ってこちらを見ていた。 ビリジアンの深い長そでブラウスに、細かな茶と灰の格子のベストに揃いの普通丈のスカート。頭にニットの丸い帽子。     ...

  考えてみたら、すでにここまでに記憶違いがいくつかある。「しけもく」の完成は1974年の6月だったのだから、JunとSumiの出会いは本当は1974の春だったこと、これはさっき気が付いた。最初から季節を間違えて書き始めていたのだ。なんてこったい。 てことは、彼女のホー ...

 ワタシは、いったいなぜこんな過去の恋愛譚を、60過ぎた今頃になって書いているのだろうか?  それは記憶の確認。そして過去の自分の愛の形の間違いを、第三者としての現在の自分が、過去の自分に教えておかねばならないことに気づいたこと。しかし、映画でもなく、そ ...

 文学部学友会国文学専攻クラスの小さな個室というのは、正確にはなんというのかは知らないが、大宮学舎北側にある北黌(ほっこう)西端にあった円柱型の小部屋である。建設されたのは明治12年と古い。 そもそも龍谷大学そのものが日本最古の大学で300年以上の歴史があ ...

 その夏、キャンバスから消えたYは、夏休みにはカナダへホームステイしていた。そうらしいとは聞いていた彼は、密かに夏休みの課題の内容なんぞのサゼッションを書きしめた、大きな封書の手紙を実家へ何度か送っていた。 それまで互いにまったく知りもしなかったのに、いき ...

 1973年、彼が大学を京都に決めたのは、美術部時代から仏像・神像の模写ばかりしていたからだろう。 当時の京都の大学は、まだ学生運動の最中で、学内でもジグザグ行進なんぞが、小規模だがやられたり、時ならず赤ヘル、黒ヘルが投石しあい、女子学生が石が当たって顔面血ま ...

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