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ロックン・ロール の意味は英語の綴りから考えればすぐわかる。

Rock’n' roll
ロック アンド ロールを縮めた言葉。

Rollの意味は「回す」。
Rockの意味は岩でもなく硬いでもなく「揺らす」。ロッキングチェアのロック。

何を揺らし、回すのか?
黒人スラングではSEXの時の腰つきのこと。転じて踊ること。
日本のやくざの符丁にも踊るとはあれをすることとある。

しかし最初は服飾スラングとして「印象的でかっこいい服装」がまずあった。
それがエルビス・プレスリーの腰つきや震える声、具ルービーなアップテンポ、だぼだぼのズボンに踊るたびに浮き上がるでかいナニのシルエットを見た白人親衛隊が、服飾語の「あれがあまりに印象的な人や音楽」と黒人的なSex隠語を複合させてそういう使い方をしたのが始まり。そういうところは今度のエルビスの映画を観ればすぐわかる。若いねえちゃんたちが息をのみ、目を見張り、親世代は目を曇らせ、眉をしかめる数十秒で一瞬でロックンロールの意味は分かるはず。あまりに黒人的過ぎたエルビス。踊り方まで変えてしまう。それはつまり昔よりもフリーになったということだし、古い世代にとっては下品で、黒人的で、貧しい音楽になっちまったとなるのだろう。こうしてロックもポピュラー音楽全体も黒人もアイリッシュだったエルビスも、つまり新しいサブカルチャー全体への差別となったともいえるのだ。

とにもかくにも、以後、エルビスはキング・オブ・ロックンロールと呼ばれるようになる。
ロックンロールとは黒人のブルースロックをエルビスが黒人のように、セクシーに踊り歌う姿からきたのだ。娘たちの総立ち、視線集中、大音声、キャーーーーー!!そうやってアイドルは登場する。

それまでは白人のロックンロール的音楽はロカビリー(ロックとヒルビリーの造語。ヒルビリーとは白人のカントリー音楽のこと)と呼ばれていた。


そして英国から、黒人音楽とエルビスに影響されたザ・ビートルズやローリング・ストーンズが登場して、白人ロックンロールはロックへ変化した。どこが違ったのか?

時期としては1960年代。
チャック・ベリーの登場で黒人ロックンロールが徐々にジャズっぽいギターのリード奏法や即興演奏が、それまでのロックンロールとなんとなく違うと感じた時に始まっていたのかもしれない。ただ、影響を受けたビートルズのジョージ・ハリスンはその技術をうまく演奏できなかった。で、ストーンズのようにはロックに向かわず、メロディメーカーであるポールを中心とするバラードへと向かうほかなかった。しかしメロディよりフォークソング的なメッセージ性を重視するジョン・レノンとは次第に意見が合わなくなったと思われる。最終的には、ジョンが選んだオノ・ヨーコの左翼的反戦反体制思考がポールの商業音楽性、芸術思考、ロック傾斜との対立を決定的にする。彼女がいなかったらビートルズはまだ続いていただろう。

そのはざまで最後のアルバム、レット・イット・ビーは造られ、四人は解散した。
ポールのその時の胸の内が分かる一曲が  The Long And Winding Road  長く曲がりくねった道 だろう。
The Long And Winding Road (Remastered 2009) - YouTube


僕は何度も一人きりになって、何度も泣いた
僕が重ねてきた努力、君にはきっとわからない

ジョンの作詞とされているが、この詞はあきらかにポールの気持ちだったはず。

こうしてロックンロールはロックになり、エルビスがいたアメリカよりもストーンズの英国で70年代盛んになる。アメリカでは南部でカントリーから発展したサザンロックが登場、英国のエリック・クラプトンとサザンロックのデュアン・オールマンの競演から名曲「愛しのレイラ」が世界的に売れた。

ビートルズ直後の70年代初頭の日本では早くもモップスやハプニングスフォーが出たが受け入れられず、ロカビリーがGSという商業アイドル音楽に変化しただけの、依然として歌謡曲もどきが流行った。日本人には音楽によって若者が世界を変革するという意識がないままだった。遅れていたのは敗戦と旧態依然の家族主義のせいだ。その陰で確実にティンパンアレイ、はちみつぱい、そしてはっぴいえんど、サウストゥサウス、キャロル、サディスティックミカバンド、シーナアンドザロケッツなどが潜伏して、ジャパニーズロック流行の基盤を作っていった。


それらの基盤には常に黒人ブルースが存在した。

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