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ブラジルのクリナ族の女性たちには「肉の注文」という、男性たちに肉を捕ってくるようにせがむ儀式がある。同時にそれは女性から男性へのセックス誘因儀式でもある。

肉が食べたくてたまらなくなると、その儀式は始まる。真夜中になると、女性たちは直毛の髪をほどき、肩に垂らしてシナをつくりながら男たちの家々を巡り、狩猟に行くようにせがむのだ。この時、男が起き上がると「首尾よく肉を持ち帰ったらあなたとセックスしてあげるわ」と約束するのである。つまり馬にニンジンである。

狩猟は決して簡単でなく、採集や栽培よりも格段にリスクが高い冒険である。それでも人類は狩猟肉食を続けてきた。なぜだろう?筆者が知っている科学的・化学的な肉食存続の理由のひとつは、肉食がもたらす満足度、幸福感である。熟睡をもたらし、レム睡眠を後回しにするので快眠できる。体力の回復も早い。


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肉には必須脂肪酸のひとつであるアラキドン酸が含まれている。この一部は脳内でアナンダマイド(アナンダミド)という「至福物質」に変化するので、人類は肉食がまずはやめにくいという説。

またもうひとつは、心理学、民俗学的な説で、冒険心、自己顕示欲を狩猟が満たすゲームだというものだ。先日、狩猟はJazzだという説を紹介したわけだが、この仮説はそれに近いものだ。

採集や栽培でも人類は、そもそも植物食だった先祖から進化したから、十分に生きていけるはずだが、なぜか類人猿の中で唯一、肉食を定番的な食事に取り込んだ。つまり定住・定型生活には冒険心や自尊心、自己顕示欲をくすぐる何かが欠けていたのだろう。だから狩猟にでかけたと。

それは結果的にクリナ族の女性が約束したセックスへと直結する男性性を見せつける前提、成果なのであるという説だ。

肉を食べると内臓は本来ないはずの活性酸素を出して植物よりもエネルギーを使って消化する必要もあるから、その体力も男性性の顕示につながる。


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そしてやはり農耕や採集にはない、危険を伴うリスクを背負うことの「楽しみ」「ゲーム性」が麻薬になったと思われる。これは男ならわかるはずだ。アジア民族のように稲作に半年を定型生活、カレンダーでしばられた民族でも、冬場には狩猟する。武士がほとんどを農耕生活で賄い、いくさは冬場にやった理由もこれだ。そして合間にはいくさシミュレーションである釣りや狩りを行うのである。欧米の王族も同じだし、世界中の武将・貴族・王族がそうだ。


狩猟が空腹のための行為ではないことはアフリカのサンを見るとわかる。彼らの狩猟は食べ物が豊富な時期にこそ行われるのである。はらが減ってどうしようもない時期に、体力がいる長期旅行してまで狩りをするばかはいない。腹が満たされてこそ狩猟に出る。つまりゲームなのだ。

そしてその狩猟はたんぱく質入手効率が低く、決して大型の獲物だけを狙っておらず、通りががって偶然得られる小動物や、採集や、さらに民俗学的にはそんこと自体が若者の経験にもなるという、いわゆる通過儀礼でもあり、また若者のガス抜きでもある。現代の荒れる若者にはこうしたガス抜き儀礼がほとんどなくなっている。だから犯罪に行ってしまうのではないか?

つまりやはり狩猟とは定型=日常的毎日の中に非日常的「インプロビゼーション」の楽しみを満たすためにあるわけである。

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ヴェジタリアン、ヴィーガン(完全菜食主義者)になる理由。
これはもう答えは出されている。肉、ほかの動物の臭いが嫌いになる酵素を持ってしまったからだ。精神的な理由はそれぞれが言うけれど、科学的にはこれしかないらしい。あとの理由はあとづけである。動物愛好家が肉を食べないというのは主義の問題であり、実際には動物の臭いがいやなわけではないから、実は肉食が可能なはずだ。しかし不可能な人というのは、子供のころのトラウマとか、昔は肉が臭かったり難かったりのじだいにこどもだったからなど、まことしやかなことを言うけれど、実のところ最大の理由は臭いだそうだ。こういう人はペットも嫌だし、動物園もいきたくないはず。魚が嫌いな人も当然臭いが受け付けられない酵素を持ったからである。においの元は分泌物や腸内腐臭だが、彼らは人間のそれらも受け付けられない。他人の家族の足の臭いや、腋臭、体臭、あまたの臭い、排せつ物などぜべてが悪夢の臭いらしい。まるで悪いにおいしかかがされない犬のようなものだと感じてしまう。地獄だな。

この酵素とはアンモニアである。健常者にはそれはうまみ成分のアミノ酸であり、うまそうに思えるにおいが、菜食主義者では地獄の臭いでしかないのだ。つまり本物のヴィーガンは、動物そのものもだめだし、おしっこの臭いもだけだから、赤ちゃんすら寄せ付けぬはずだ。もちろん結婚もしないし、他人から遠ざかる生活になる。これでは生活者ともいえない。

プロテインにも大量にアンモニアが含まれていたりするから、むきむき男や女なんか嫌われてしまう。皮膚からアンモニア臭が山ほど出るからだ。

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ところが人類は肉食によって脳を発達させた。ホモサピエンスになれた最大の理由は肉食であり、二足歩行というエネルギー大量消費をおぎなったのも肉の持つ良質なエネルギーだ。半面で、肉には不飽和和脂肪酸が多く、リスクも多い。それを大量の野菜でおぎなう必要がある。

ライオンはとらえた草食獣の肉をちょっとしか食べず、ほとんどは捨てているが、内臓だけはしっかり食べる。これはビタミンCを摂取するためだ。肉食獣の多くは肉のたんぱく質よりも内臓のビタミンC  を重視して生きている。ビタミンC は熱に弱いから生で食べねばならない。チンパンジーがたまに小型のサルを捕食するのも、内臓だろうと筆者は考えているが、最大の理由はやはり人類同様、ゲーム性の魔力にあるようだ。

一言でいえば麻薬と同じ常習性が肉にはあって、しかも満足度が高く、高たんぱくで、熟睡できるし、氷河期を乗り越えるエンドルフィンを増やすのにも貢献した。だから人類は肉食がやめられないのである。

世界中で遺跡から人肉食の痕跡さえ出てきており、人類は同胞にすら食欲を感じていたらしい。

しかし、牧畜は環境破壊だし、これからは食糧難の時代・・・すると代用肉の時代が来ることは覚悟するべきだろう。昆虫や大豆などはすでに加工食品になって売られている。なのにテレビやコンビニでは廃棄や飽食がいまだに繰り返されている。孫・子にそれは必ず返ってくるだろう。
参考文献マルタ・ザラスカ『人類はなぜ肉食をやめられないか 250万年の愛と妄想の果てに』2017


※Jazzにあってクラシックにないものはリズム。リズムがないからクラシックは楽しく感じない人が多い。それを「のり」などというが、Jazzではグルーブ感か。のれないからうきうきしない。クラシックが受けない理由はここ。しかしワルツにはリズムがあるのはダンス音楽だったからだ。


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