オリンピックソフトボールを観ていて気になったことがひとつ。
小さなことだが、解説の宇津木妙子元監督の後藤希友(ごとう・みう)選手の「ごとう」アクセント。
埼玉県比企郡旧中山村(現在川島町)出身の宇津木さんだから「ごとう」は当然「中輪東京アクセント」で平坦右肩上がりアクセント(ごとう⤴)だと思っていたのが、意外にも瀬戸内関西発音の「ごとう⤵」だったので気になったのである。
ごとうアクセントは大別して二種類(沖縄・鹿児島などを除く日本本土)。今書いた⤴と⤵ 右肩上がりと右肩下がりである。一般に平坦な右肩上がりアクセントは関東地方、語頭にアクセントが来る右肩下がりアクセントは中部地方以西に多い。しかし埼玉比企郡出身の宇津木さんはなぜか西日本に多い後者を多用していた。
不思議に思い、埼玉西関東方言を少し調べたが、北関東右肩上がり方言の影響と、武蔵南部の南関東方言の影響が混ざるとはあっても、西日本方言の影響については一切記述がなかった。(筆者は関東地方には西日本からの開拓者が古代~平安に多かったことを知っている。また氏族の移住や九州との交流があったはず)
後藤投手ご本人は愛知県名古屋市生まれなので、地元ではおそらく「ごとう⤵」さんと呼ばれていると思うが(推量でしかない)、東京では「ごとう⤴」さんだろう。どっちにしても東西に移住経験がある後藤さんはだいたい移住先のアクセントが居住まいが悪いと感じているだろうと思う。
ライズボールはあまり投げない後藤投手みたいだったから⤵と呼ばれたいかな?
地名や人名のアクセントは地元民には気になるものだし、引っ越したりすれば東京の人も意識することになる。一般には東京は南関東方言地域であるが、そこが首都になりその方言が標準語になっただけのことで、方言であることには変わりないが、言語学の方言区分では関西を除く日本全体はほぼ東京系発音・アクセント=平坦地域だとされる。中輪、内輪、外輪と区分される。つまり簡単に言えば、日本語の方言は関東系と関西系に二分できるというわけである。しかしそれらは微妙に細部のアクセントに違いがある。その理由は近隣する近畿方言の影響や戦後のメディアの影響であろう。要するに古代から江戸時代までは近畿方言が影響があり、明治以降は東京方言が影響を与えたという二重構造が日本語をやや複雑にしたということになる。それ以前には縄文と弥生の違い、朝鮮語と中国語のアクセントの違いなどがやはり近畿畿内言語に影響したはずだ。
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おまけ
「どうも沖縄、北海道も含めて日本全土が東京式なのであるが、 そこへどっかりと関西圏のみが京阪式アクセント圏として侵食している、 という事のようです。 内輪系地域は飛騨・美濃・尾張・大和南端・丹後・但馬・ 美作・備前・備中南端・伊予西端・土佐西端、以上の十一地域です。 中輪系地域とは、三河から関東までの地域と中国地方の西半分です。 外輪系地域とは新潟地方、東北の一部、九州の一部等です。 沖縄の友人がいますが、私の耳にはやはりアクセントは異なっています。 がしかし沖縄は外輪系です。東京式の流れを汲むのです。」東京式アクセント内輪系 (ctk.ne.jp)
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