055111




  土曜日で講義は半ドン。はねてから深草駅で待ち合わせた。
 京阪電車各駅停車三条行き。
 彼女は乗車口のはじっこに立ってこちらを見ていた。
 ビリジアンの深い長そでブラウスに、細かな茶と灰の格子のベストに揃いの普通丈のスカート。頭にニットの丸い帽子。
  
  「お昼はカレーだったな?」
   「え、ついてる?ふいたつもりなのに・・・」
  
 あわててティッシュで吹き始めると、みるみる小鼻に球の汗が浮かぶ。

  「ねえ、ほんとにわたしなんかでいいの?わたし悪魔かもよ」
  「君がいい」

  「いつわたしを見ていたの?」
   「深草でスクールバスを、真っ赤なサロペットでMichiyoちゃんと話していた時」
    「へえ、あのときあなたもいたんだ」

 電車は伏見稲荷の赤い駅に着いた。人がたくさんのってくる。
 それでもそのまま乗車口に立つ二人。秋の弱い光が背後から入ってくる。


 「じゃあ、いつ好きになった?」
 「さっき君がカレーをふき取ったとき」
 「じゃあ、昨日は?サロペットの時は?」
 「一回一回どんどん好きになった。で、カレーふいたときに最高潮に」



「。。。。」

  「君はどうなのさ」
   「夏休みに手紙を見た時からずっと気になって、最初にあなたが来た会議室で」




 「わたしわがままよ」
「気も強い」
 

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ずっとしゃべっていた。はじめてなのに波長はぴったり合った。
三条京阪から御所まであっというまについていた。

玉砂利の横の芝生に座って、彼女は編み物を取り出し、

「ひざまくらしていいよ」と言った。

彼はごろんとあおむけにねそべると、ゆっくりと頭を彼女のひざに乗せた。
重くないように、少し首に力を入れていると、彼女は両手でそっと彼の頭をひざに乗せなおした。

 「あなたを感じたいから、どんと乗せていいよ。これからずっと」

 「ああ・・・わかった」


 御所の空は真っ青だった。周囲からすべての景色は消え、人々も消えた気がする。




 それがふたりの初めてのデートだった。



 それからJunはSumiちゃんの時空の旅に連れ出されることになった。





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