カタストロフィはすでに始まっている




「地球上に存在する氷の実に90%を占める南極の氷床。たった1%とけるだけで地球全域の海水面が60㎝も上昇すると言われている。これまで南極の大半を占める「東南極」の氷床は岩盤の上に厚くのっていて気温も低いため、多少の気候変動に対しては安定だと考えられてきた。しかし、」NHKNo.3301 2013年1月29日(火) 南極大陸が融ける?~温暖化調査 最新報告~www.nhk.or.jp/gendai/articles/3301/index.html



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画像出典 環境省なんきょくキッズwww.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/donnatokoro/timecapsule/ice.html
ドームふじ基地
標高 3,810m
氷厚 3,030m
年平均気温 -54.4度
最低気温 -79.7度
年平均降水量 2.5g/cm2
平均風速 5.4m/s


「IPCCの第5次評価報告書[注1]では、1951〜2010年の世界平均地上気温の観測された上昇の半分以上は、温室効果ガス濃度の人為的増加とその他の人為起源強制力の組み合せによって引き起こされた可能性が極めて高いとされています。つまり近年の温暖化は温室効果ガスの変動がきっかけになっていると言えますが、過去にはこれと逆に、気温の変動をきっかけとして大気中の温室効果ガス濃度が大きく変化していた自然現象があったのも事実です。」
地球環境研究センター 大気・海洋モニタリング推進室長 町田敏暢www.nies.go.jp/researchers/100115.html


「大気中のCO2濃度は人類が化石燃料を燃焼させること以外にも、自然のしくみ(陸上植物や海洋の働きなど)によって大きく変動しうるものです。たとえば、過去数十万年の間に起こった氷期-間氷期(かんぴょうき)サイクルと同期するようにCO2などの温室効果ガスの濃度が大きく変化していたという証拠が、南極やグリーンランドの氷床を掘削した氷のサンプル(氷床コア)から得られています。例として図1に一番最近の氷期(最終氷期)から現在の間氷期に移行する間の南極の気温(の指標)とCO2濃度およびメタン濃度の詳細な変動を示します[注2]。この図を見ると、最終氷期からの気温と温室効果ガスの上昇はほぼ同時か、気温の方がやや早いということがわかります。この現象は、まず気温上昇などの気候変動で温室効果ガスの濃度が変化し、温室効果ガスの変化がさらに気温変動を増幅させたものであると説明されています。この気温の変化と温室効果ガスの変化について、以下でもう少し詳しく説明していきます。」
ここまでの出典www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/8/8-1/qa_8-1-j.html



「間氷期に入っている現在の地球のCO2濃度は、産業革命以降の人間の活動によって過去に類を見ないほど上昇している。阿部教授は、「過去の間氷期にも解けたことがない南極やグリーンランドの氷床がこれからどう変化するのか、注意して観測する必要がある」と指摘する。

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書は、温暖化が洪水、熱波、農作物被害、疾病などで人間社会や自然生態系に甚大な被害を与えると警告している。この間氷期に発達した人類の文明や地球環境は、この先どうなるのだろうか。同報告書の執筆者の1人である阿部教授に伺った。」

「先ほど説明したように、氷床は日射や気温の変化にすぐ反応して解けることはなく、時間の遅れがあります。これが非常に重要なポイントです。
専門家の分析によると、西南極ではすでに「しきい値」に近づいているのではないかと言われています。「しきい値」を超すと、南極の氷床の融解が急速に始まって温暖化が進む恐れがあります。今、南極やグリーンランドで氷床の質量が減少している現象は、反応が始まったばかりのところかもしれず、これからもっと大きな反応に進むかもしれません。」

温暖化の後は、次の氷期が人類を待ち受けている
「間氷期はふつう2万年で終わりますが、今回の間氷期は今から4~5万年後まで長引くと予測されています。その理由の1つは、CO2濃度が上昇しているために氷期になりにくいこと。もう1つの理由は、今の地球の公転軌道が40万年に1回という離心率が小さい時期にあたっていることです。離心率が小さいと公転軌道が円軌道に近づくために北半球の夏が涼しくならず、間氷期が長引く傾向が生じるのです。実際、40万年前も同じことが起きています。」

ここまでの出典: 阿部綾子教授(2013年、Natureに掲載された阿部教授の論文より抜粋)https://www.mugendai-web.jp/archives/10582







地球温暖化はひとつは人為的な激変が現代的な要因であることも間違いないようだが、産業革命以前には、自然現象としての寒冷化・温暖化の繰り返しもあって、現在もそれはゆっくりと動いていることに変わりはない。本来、人為的温暖化(Co2激増)がなければ、実は地球全体はゆっくりと氷期に向かっていることは否定できないのだ。

もっとも、なぜか、今回の間氷期はこれまでより期間が長く続くらしく、人為的温暖化がさらにそれを助長しているようだ。したがって何万年も先の氷河期の再来を懸念する前に、目前にある南極氷床下のマグマによる急速な氷床融解をまず心配せねばならないだろう。



なぜ南極氷床下のマグマが今、急速に発達し、南極の地殻を「食いつくして氷を溶かし始めたか?」

西南極氷床下のマグマ移動
Nature Geoscience
2013年11月18日
Magma movement beneath the West Antarctic Ice Sheet
www.natureasia.com/ja-jp/ngeo/pr-highlights/8897

「西南極氷床の下の地殻にマグマが移動している可能性があるという報告が、今週オンライン版に掲載される。西南極にはいくつかの火山が存在することが知られているが、現在も活動していると考えられるているものはない。

Amanda Loughらは西南極の高地で得られた地震データを解析した。彼らは、2010年と2011年に西南極氷床の下の深さ25~40キロメートルで起きた2つの群発地震活動を同定した。群発地震活動は活動する火山下でマグマが地殻に移動することで起きる地震に典型的な特徴を示している。この場所における噴火がその上の厚い氷を貫通することはありそうもないが、噴火による熱流が氷床の底を溶かす可能性はある。

関連するNews&Viewsの記事でJohn Behrendtは「この過程は氷床の底の滑りをよくする可能性があり、その上の氷の流れを助け、氷の流路を作り出す可能性がある。これらすべての過程は、西南極の氷損失を加速させる可能性がある」と述べている。」



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画像の出典
産経ニュースクローズアップ科学「南極の氷床が大崩壊の危機? 深層の暖水が上昇し下部を融解 オゾンホール拡大が影響か」www.natureasia.com/ja-jp/ngeo/pr-highlights/8897
およびNHKクローズアップ現代www.nhk.or.jp/gendai/articles/3301/index.html




こうした現象を受けて、ややヒステリックにこれを世界に訴えようというグレタちゃんのような活動家も登場しているわけだが、環境や動物愛護運動家には、やや扇情的で、金銭が動くことを二次的な目的にしているものもいたりも否定できない。さらにこの日本の学者は、むしろ南極の氷は増えていると、正反対の意見を発表したりもしている。
occco.nies.go.jp/111202ws/pdf/enomoto111202.pdf


いずれにせよ、南極ではブリザードによって、解けた氷は表面では再生されているが、氷河はあきらかに激減してきたことは間違いない。それはグリーンランドでも同じであろう。問題は氷床の底部の根氷や、それを支える岩盤の、マグマ増加移動による溶解の進展である。いくら地表の氷が増えても、基層で融解が進んでしまっているなら、足元が熱くなっていることになるわけだ。これはゆゆしき問題となる。

火山活動とマグマ移動は深く関係する。そもそも南極やグリーンランドだけではなく、環太平洋火山帯リング全体が、火山活動とプレート活動が活発化していることは間違いないだろう。

今年の日本は暖冬で、というよりもここ5年程、ずっと暖冬であると言え、中でも本年は、東北で豪雪が起きていない。このことは地層・地理学的には、地震が起きにくいということになるだろう。豪雪の重量はとんでもなく重く、列島の東北部日本海側を抑え込み、太平洋側を持ち上げてしまう。この上下運動が日本海溝、千島海港、南海トラフに多大な動きをもたらしてきた。大地震のひとつの要因である。その雪がなく、温暖化のために雨を降らせている。これが真夏の雨となるとご存じのように集中豪雨とスーパーセル台風による、太平洋側などの災害、洪水、あるいはがけ崩れを引き起こし、今度は大量・大重量の土砂を太平洋へ流しだす。このことが結局は海溝の「ずれ」を引き起こしもするのである。どっちに転んでも日本列島では大地震の懸念が払しょくできない。また豊後水道・日向灘におけるSSE=スロースリップイベントと低周波振動を常時起こしたり、近畿~東海における超低周波微動をも引き起こす。



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画像は『絵でわかる地震の科学』より


現代の地震情報を見ると、あきらかに昔よりも地震が増えているように見える。これは数値としては戦後の記録の数日に一回よりも大幅に増えて、一日に何十回もの微震が起きていることになるが、実はマグニチュードの観測計が以前より数百倍もの精巧なものになったからで、ときにはM1、またマイナス1であっても微震として記録されてしまうからであると井出哲は書いている(『絵でわかる地震の科学』2017)。

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豊後水道の1997年に起きた大規模なクリープ現象は、しばらく続き、GPSによる海底の移動方向とは真逆な方向への(年間10センチにも!)移動という異常現象で、以来、スロースリップ、ゆっくりすべりなどと表現されてきた。この移動で発生する低周波までも、今の地震計は感知する。そればかりか、紀伊半島~東海、長野の中央構造線にそっておきている超低周波さえ、今では地震として記録されてしまう。

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画像検索サイト
https://www.bing.com/images/search?q=sse%E9%95%B7%E6%9C%9F%E7%9A%84%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88+&qs=n&form=QBIR&sp=-1&pq=sse%E9%95%B7%E6%9C%9F%E7%9A%84%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%20&sc=2-18&cvid=B774AF4D45A8447D960879F2EA975B46&first=1&cw=1117&ch=624


これらの微振動は、以前は地震と感じられてすらいなかったが、現在では、そのストレスがたまって大地震につながる危険もあると言われ、阪神淡路大震災も、東西のこうした低周波微動と、南海トラフにおける長年のストレスなどが一気に活断層を眠りから覚ましたからではないかと思われ始めたらしい。トラフ地震は海溝地震よりも浅いので、軽く考えがちだが、相模トラフや日本海溝からの大地震のストレスの蓄積は、当然プレート同士が伝え、ため込まれているはずである。東北のM9とは言わずともM7~8以上の大震災になる可能性は70~80パーセントと見積もられている。

リングオブファイアーだけでなく、火山のあるニュージーランドや、火山はなくとも森林火災が起きたオーストラリア、ボルネオなどでも、おそらく地下マグマの急速移動によっての火災は起こったと考えられる。温暖化と、偏西風による熱風乾燥、太平洋の海水の高温化などなど、今後の大災害の起こる危険性は枚挙にいとまがないほど引き起こされるだろう。まさにカタストロフィは今、始まっているのだ。

われわれ中高年はもうじき死ぬ。しかし若い人たち、その子孫たちは、これらを目で見て、体験することになってゆく。そしてその温暖化は、これから数万年も引き続き影響を与えてしまうだろう。そしてその果てにあるのが一転して寒風吹きすさぶ突然の全球凍結=氷河期なのである。エンドルフィンを思い出す。人類が氷河期を乗り越えることのために手に入れた、体内麻薬ホルモンだ。現代、エンドルフィンは本来の活動が無用になって、正反対に、薬物やし好品の常習性ホルモンとして悪者扱いになっている。女性の、母性のやさしさの根源だったエストロゲンは、かえっていらいらと攻撃性を増幅させもする。つまり長期的に無用となったり、ホルモンバランスが崩れると、人類は効能と正反対の動きをするようになるホルモンや酵素や悪玉菌にコントロールされるようになった。その状態で、再度やってくる氷河期を果たして乗り越えられるであろうか?はなはだ心配である。


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