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日本で新たなひすい産地を発見

 「産総研 地質調査総合センターでは、国土の基本情報の整備のため、全国の5万分の1地質図幅(*1)を作成しています。今回、熊本県中部の5万分の1地質図幅「砥用」(ともち)を発行しました。この地域は、日本の基盤をなす地層を理解する上で重要な地域ながら、学問的にも地形的にも調査研究が困難な地域で、地質情報が乏しい地域でした。しかし、この地質図幅の完成によって、当該地域だけでなく周辺地域、ひいては日本列島の基盤の地質の理解が大きく進展すると確信しております。

 今回、この地域の地質の研究を進めていく過程で、「砥用」の著者である地質調査総合センター主任研究員の斎藤 眞(さいとう まこと)・宮崎 一博(みやざき かずひろ) (*2)は、九州山地西部の熊本県八代市泉町(旧八代郡泉村)で、新たなひすい(*3)の産地を確認しました。まだ、研究途上のため、5万分の1地質図幅「砥用」には、記載していませんが、9月19日の日本地質学会京都大会で新たな研究成果として発表します。この地域では写真(矢印の先の白色部)のように1cmを超えるものが見つかっています。

 このひすいは当地域に分布する蛇紋岩メランジュ(*4)中に産出します。この蛇紋岩メランジュは、本地域の形成過程を高度な手法で調べていく過程で識別できた非常に複雑な地層です。この蛇紋岩メランジュには地下深くの高圧条件でできた変成岩(*5)が多く含まれ、今回発見されたひすいを含む岩石もその一つです。今後、蛇紋岩メランジュをさらに調べることによって、同様のひすいがさらに発見できる可能性もあります。

 日本では、ひすい産地として、新潟県糸魚川市の青海(おうみ)・小滝(こたき)地域のひすいが有名で、北海道、関東山地、中国山地などで報告がありますが、産出地域は10地域に足りず限られています。九州では西彼杵(にしそのぎ)半島の長崎市三重町とその周辺で見つかっていますが、これまで九州山地では見つかっていませんでした。新たな産地の発見によって、これまでのひすいが見つかった地域との関連性(連続性)が今後の学術的な関心となることと思われます。

 なお、日本で新たなひすいの産出地域の報告は岡山県新見市の大佐山周辺で報告があって以来18年ぶりとなります。」

https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2005/nr20050909/nr20050909.html