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さて、アナトリアから鉄の文明が東へも行ったのだと思えるものが、三国志の時代、蜀の諸葛孔明が発明した戦車「鉄の馬」として存在します。孔明はいったいどこからあのような鉄の馬を考えついたのでしょうか?
アナトリアにはすでに何千年も前に戦車がありました。孔明が鉄の馬を用いるのは黄河より北にある魏を相手にする時です。赤壁の戦いでしたでしょうか?もしかしたら江北の漢人たちはまだローマの戦車を知らなかった。これがお隣の呉が相手だったらどうでしょうか?呉王・孫権は江南の人です。きっとすでに馬車を知ってたでしょう。それ程驚かなかったかもしれません。通商流通いずれをとってもこの時、江南の方が情報が早く入っていたのかも知れませんね。


これはローマから伝わったに違いありません。当時、大秦国と呼ばれたローマは始皇帝の時代にすでに商業貿易で通商関係がありました。そのローマの戦車は実はアナトリアの戦車を真似て作られています。原型はアナトリアのヒッタイトのものだったのです。
つまり諸葛孔明の鉄の馬の原点はすでにヒッタイトが持っていたものだった。それならば製鉄だってローマを通じてヒッタイト文明の発展したものが来たのだと考えられないわけではないでしょう?

そして鉱物氏族たちの持つ伝承や、習慣も一緒に伝播した可能性もあるわけです。
中国の王朝は常に江南の神農氏を祖としてきました。それは北方の女真族から出る漢民族の国家になっても続けられました。そして神農氏の神仙思想は脈々と継続し、隣国の朝鮮、日本にも取り入れられてゆきました。それは鉱物を大地母とする猿の思想でした。

猿とは申の方角・・・すなわち西をしめします。西とは金気の方角で、獣では白虎にあたります。色は白です。たとえば『西遊記』の孫悟空は石から生まれたサルですが、それは花火山水蓮洞にある巨石となっています。母なる鉱物、山・・・そこから生まれたのがサルの孫悟空でした。これはもう神仙思想そのものといっていいお話に作られています。すなわちサルとは金=鉱物のことです。

そのサルを祖とし、片目片足だったとされるのが夏王朝の開祖である夏王禹です。禹王は黄帝の子孫。神農氏の系譜になります。ですからサルの一族は山師です。そしてのちに放浪の民となり、各地に芸能を伝承する氏族が生まれます。日本では猿丸太夫と呼ばれ、柿本人麻呂の後裔とされます。また放浪の民は水先案内ともなり、猿田彦が生まれました。

猿と仲が悪いとされる犬も山師です。行く先々で山を奪いあうから仲が悪い。しかし犬もまた西をさす動物です。犬は北西をしめしますから、鍛冶屋の神です。猿と犬の間にある真西をさすのが鳥です。猿、鳥、犬。犬は多産ですから今でも子宝の神様です。子宝とはもともと金のことなのです。
鳥は本来中国では鳳凰・朱雀ですが、日本では雉になります。これで桃太郎の三けらいがそろいました。

猿が芸能の神となるのはインドでも同じで、民謡や詩人、吟遊詩人はみな猿です。

日本で犬の子孫だといっているのは阿多の隼人でした。また猿の子孫はおそらくオオ氏でしょう。
どちらも山師でした。それは山師が武力に必要な民だったから、氏族は犬、猿、鳥の民を抱え込んでいたからです。鉱物は火に焼かれて道具となり、武器となります。武器は力であり、それが氏族を繁栄させます。ですから鉱物は宝です。宝が来れば豊かになる。これが蓬莱思想であり、それは鉱物資源のある場所となります。一富士二鷹三茄子と申しますが、富士は鉱物神である大山積の娘・このはなさくやのご神体ですし、鷹は修験者や鉱脈を指す隠語なのです。なすびはなんなのかわかりませんが・・・・。
つづく  2007年3月4日かわかつ


参考文献
大和岩雄『十字架と渦巻き』白水社
大和岩雄『古事記成立考』大和書房
大村幸弘『アナトリア発掘記 カマン・カレホユック遺跡の二十年』NHKBOOKS
平凡社『日本の美術2』

追補 茄子はおそらく物実(ものざね)でしょう。男根。すなわち鉱物によって作られる剣のことでしょう。陰陽の陽。