橋姫
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』橋姫(はしひめ)は、

橋を守る女神。特に宇治橋のたもとの橋姫神社に祀られている「宇治の橋姫」を指す。
『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。巻名は、宇治に住まう二人の愛らしい姫君のことを指す。後述。
嵯峨天皇の代(786年-842年)、夫に裏切られて憎悪と殺意に駆られるあまり宇治川に身を浸し、生きながらにして鬼と化して願いを成就させたと伝えられる女性。『屋台本平家物語』『太平記』『橋姫物語』にその名が見える。丑の刻参り参照。「宇治の橋姫」とも。
能面のひとつ。復讐に燃える怨霊の女の形相を象ったもの。3.の伝説に基づいた能「鉄輪」において用いられる。
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  ひとこと:橋姫は、中世に入ると、自分を捨てた男を呪い殺す、丑の刻参りのモデルになった姫である、という伝説が加わります。
       鳥山石燕の記した「今昔画図続百鬼」によれば、「橋姫の社は山城の国宇治橋にあり。橋姫はかほかたちいたりて醜し。
       故に配偶なし。ひとりやもめなる事をうらみ、人の縁辺を妬み給ふと云」とあります。
       絵の橋姫は、怒りの形相をあらわにしていて、それこそ、「その怨みを、川に流したほうがいいよ・・・」と言いたくな
       る風です。
       源氏物語の宇治十帖では、薫の君を恋しながらも、身をひく大君や、浮船とイメージが重ねられ、「愛らしい姫」という
       印象になります。
       また、和歌の世界の「橋姫」は、いじらしく、愛らしい姫であるようで、古今集に納められている和歌に
「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫-読み人知らず-」というのがあります。
http://www.norichan.jp/jinja/renai/hashihime.htm
       
宇治橋の守護神を祀る
 橋姫神社は、京阪電車の「宇治駅」から徒歩で宇治橋を渡り、大鳥居をくぐり「あがた道」をしばらく行くと左手にある。境内には橋姫(瀬織津比尊・せおりつひめのみこと)と住吉明神を合祀した一宇と社務所がある。由緒記には、孝徳天皇時代の大化2年(646)のとき、大和(奈良)元興寺(がんこうじ)の僧であった道登(どうと)が勅願を得て宇治川に橋を架けたとき、橋の守護のために上流の櫻谷に祀られていた瀬織津比尊を橋上に移し祀ったのが始まりとある。祀られた場所は、橋の中ほどに上流側へ張り出して造られた「三の間」と呼ばれるところ。後に宇治橋の西詰の地に移し、同じ水の神の住吉神社(宇治川の左岸櫻の馬場に祀られていた小社)と共に祀られたという。以来、明治維新までは宇橋の架換えのたびに神殿も新造され、橋の守り神として地域の人々により守られてきた。明治3年(1867)の洪水で流失した機会に現在地に移されたとされる。同社の御利益は悪縁切りとか。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~hidesan/hashihime-jinjya.htm

橋姫神社「由緒」



祭神 瀬織津比尊
式内 橋姫神社
摂社 住吉神社

 孝徳天皇の御宇大化二年、南都元興寺の僧道登勅願を得て創めて宇治橋を架するにあたり其鎮護を祈らん為、宇治川上流櫻谷に鎮座まします瀬織津比の神を橋上に奉祀す。これより世に橋姫の神と唱ふ。今の三の間と称するは、即ち其の鎮座の跡なり。
 後祠を宇治橋の西詰の地に移し住吉神社と共に奉祀す。
 明治維新までは、宇治橋の架換ある毎に新たに神殿を造営し神意を慰めたりしが、明治三年洪水の為め社地流出してより此の地に移す。
 住吉神社は、往古は宇治川の左岸櫻の馬場にありし小社なり。彼の源平盛衰記に、平等院の北東の方結の神の後より武者二騎云々とあるもの即ちこれなり。
 尚かの源氏物語宇治十帖のうち橋姫の巻といふ一帖は、これに因みしものなるべし。

古今集
さむしろに衣かたしき今宵もや
          我をまつらん宇治の橋姫

新古今集
あじろ木にいさよふ浪の音ふけて
          獨や祢ぬる宇治の橋姫

蓮月集
はしひめの もみちかさねやかりてまし
          たびねは寒し宇治の川風
(2001年11月12日 橋姫神社 山田様よりご送付)
http://www5.ocn.ne.jp/~furindo/yuisho.html

山城國風土記云、宇治ノ橋姫、七尋ノ和布ヲツハリニ願ケル程ニ、ヲトコ海邊ニ尋行テ、笛ヲ吹ケルニ、龍メデテ聟ニトレリ。姫、夫ヲ尋テ海ノハタニ行ケルニ、老女ノ家アルニ行テ問程ニ、「サル人ハ龍ノ聟ニ成テオハスルガ、龍宮ノ火ヲイミテ、此ニテ物ヲ食スルナリ。ソノ時ニミヨ」ト云ケレバ、カクレ居テ見之ニ、龍王ノ玉ノ輿ニカカレテ來テ、供御ヲ食シケリ。女、物語シテ、ナクナク別レケリ。遂ニハカヘリテ、彼女ニツレタリ。
口語訳
宇治の橋姫がつわりのため、長く美しいワカメをほしがったので、夫がそれを求めて海辺に行き、笛を吹いていると、龍神が聞き惚れてなぜか彼をオシ(難聴者)にしてしまう。橋姫は夫を捜して海辺に行き、海人の老女(たぶん海女)から話を聞き、いずれここに現れることを知る。二人は無事に出会いこの時は泣いて分かれたが、やがて夫は帰ってきて、元通りなかよく夫婦になった。
http://homepage2.nifty.com/toka3aki/geography/fudoits1.html


橋姫の顔はこんなだ。
http://www13.ocn.ne.jp/~sengoku/gallery_hashihime_02.html

ようするにセオリツヒメの別名である。
鬼女。怨念。丑の刻参りがキーワードの女の怨霊。その心は生け贄の歴史あり。となる。
はしのえみではない。はしひめ。