味付けした肉を串に刺し、炭火で焼くのを「サンジョッ」という。
いわゆるバーベキュー。
味付けはゴマ油と醤油。
サンジョッの「サン」はそろばんで数える意味から出ている。串刺し状態がそろばんに似ているからである。
焼く前の状態が「チャプサンジョッ」で、焼いてから醤油をかけると「チャンサンジョッ」。開城の方では沢山の調味汁に漬け込むので「チュプサンジョッ」という。さほどの違いはないのに名前がいちいちつくのが面白い。まじめなのがハンサングンで、危険なのがチェサングンで、オッチョコチョイなのがミンサングン・・・これはチャングムの道の登場人物。

日本の焼き肉はそれぞれ牛の部位を楽しむようになってしまったが、本来、コリアン・バーベキューというのはカルビ・クイのように安い腹身肉の薄切りを野菜と一緒に鉄鍋で焼くもので、いわばジンギスカンやすき焼きに近い。日本人のようによいお肉を塩味で楽しんだり、たたきにしたり、醤油で網焼きにしたりというバリエーションはなかったようである。これは今のような牛の飼育が確立されていない時代の習慣だろう。日本のすき焼きもどちらかといえば牛肉がまずかった、臭かった頃の食習慣である。しかしながら日本の焼き肉屋でもいつまで経っても甘いタレに漬け込む悪習が抜け切れていない。なんでもかんでもタレの味で喰わせるのはいい加減考えてもらいたい。