「倭人は楚人」という今回の分析は、あくまで父方Y染色体からのアプローチである。一方の母方遺伝子DNAからの分析ではこのような秀作サイトが存在する。
http://bbs.jinruisi.net/blog/2009/07/000620.html

当方は「日本人」とは表記しておらずあくまで「日本海側の遺跡に出てくる倭人」が対象で、そのむねHPの記事には最後に添記しておいた。つまりそれだけ多くの地域からの移住者があったことを理解していただきたいのである。

楚人の大元を構成するミャオ族だけがやってきたとは理解されぬように願いたい。

また母方分析というものは、非常に歴史上難しい判断が必要とされる。特に島国である日本へ、古代において母方遺伝子が渡海することが困難であったことも、十分に勘案されねばばらない。ゆえに一般的に古代史における人種移動分析をする場合、父方Y染色体で行われる方が確実なことはいたしかたない。
しかしながら、もちろんY系統が存続するためには母方の来訪が不可欠であることも事実である。
そして、現代日本人の中に、父方Y染色体のわずかな残存が見られるということが、「母親」も来ている証明であることにもなる。
(男性だけが来訪した場合、第四世代までには地元民形質の中に埋没してしまう。)
Y染色体形質と遺伝子DNAは補い合う考察対象であるとも書いたつもりである。

このあたりの矛盾は、今後、当方もふくめてさらに追及してゆかねばならない。

また呉越人の来訪、漂着も、非常に大きな可能性を秘めた問題であるが、いずれ遠くない将来には、この問題への解答も最新理化学が提出してくれるだろう。期待しよう。

楚人の祖である熊氏の氏族分析とその伝承の伝播が日本にあったかどうかの分析も今後必要とあれば考えて見る意義はありそうである。しかし、こちらは理化学に比べれば証明は非常に困難である。

犬祖伝承分析で、すでに数年前、南方少数民族、北方少数民族が同じ「犬から生まれた」という伝説を持ってきたことが考察してある。動物を祖とした古代人は世界中に存在する。その多くが犬、山犬、オオカミ、鳥、サル、そしてアイヌのように熊を選択している。当然、熊を祖とする一族があるならば、熊を氏姓としてもおかしくはないことにはなる。けれどこの問題は一朝一夕には証明しにくい。

今回の分析が大事なのは、遺伝子分析が巷間に膾炙され始めた現代以前にあった形質人類学における漠然とした「日本人の血脈には南方系アジア人の形質が入っているのではないか?」という「多くの日本人が直感で感じてきた」説への裏付けになった、という結果だろうと思う。これまで南方系アジア人は南方系遺伝子だけだと考えこられてきたが、実は南方系アジア人そのものの多くが北方系アジア人の血脈をちゃんと持っていることがわかったことが最重要なことなのである。

もうひとつ、日本人が世界最多の血脈のるつぼであることがわかった段階で、これは戦前の日本人単一民族という過去の誤った観念が、やはり大きな嘘であったことの完璧な証明となった。つまり歴史学における「戦後の完全な終焉」にだめを押したという意義があるわけである。これ以降、未来に単一民族説をまたぞろ持ち出すような危機はもう終わったことになるだろう。それを認められるということは、とりもなおさずイデオロギーという不条理な押し付けを、今後誰もが拒否できる完膚なきまでの決定的定説が誕生したという瞬間なのではなかろうか?反ガリレオともいうべき単一民族説が否定された歴史的瞬間だったことになろうか。

それはちょうど昨日の皆既日食が起こる原因が「太陽が月の影から現れた」という認知を逆転する「地球が太陽が見える位置に移動した」という観念の逆転に似ている気がする。そして事実は後者であることは言うまでもない。
それでも日本人は単一民族だと言い張る残存する無意味な民族礼賛は、今後出現しないだろう。亡国の概念は新しい次元の扉を開いた。

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