●稲の種別による栽培適地と治水土木の到来
稲の生育には湖沼地が必要である。
それは古代では大きな河川の流域にあった。
当初は安全な上流域で実験的に小規模に開始された陸稲は、弥生前後、手馴れた渡来人たちによって河口部の大きな沼地で開始されていく。だから縄文渡来人は河川の奥地にある涌水地のある扇状地を目指し、弥生渡来人は河口部の潟湖や湖沼地、河川を目指した。これが山の民と海の民の発生である。
海洋民・海人族も稲作は行うのが常である。農民と漁民、あるいは狩猟民などの大別の仕方は間違っていた。

古代水田のコメの品種は、縄文時代の熱帯ジャポニカ種が中世になると激減し、温帯ジャポニカへ完全移行してゆく傾向にある。だから熱帯ジャポニカは古い種であり、縄文時代の水の湧く台地、扇状地の小高い台地が縄文米栽培には適していた。しかし温帯ジャポニカは湿地植物なので河口部で栽培され、そのためには渡来系殖民の治水能力を必要とした。

●ジャポニカの3分岐
当初米にはインディカとジャポニカがあり、ジャポニカ種はやがて温帯・熱帯ジャポニカに分岐、遺伝子的に熱帯ジャポニカはインドネシア種のジャワニカと重なるところを多く持っている。つまりジャワニカもジャポニカから派生したのであろうと思われる。

●縄文と大陸の焼畑の違い
東南アジアの焼畑と日本の縄文焼畑の違いは、東南アジアが水はけのよい傾斜地であったのに対して、縄文の焼畑は平坦地で、水の豊富な湖畔や河川敷の近くで始まるところである。水位が夏場になると上昇するやや小高い河川敷である。川のスグ真横は氾濫でひとたまりもないので、少し段差のあるところを焼きはらって、さらに高いところで畑作をしていた。住居はその中間にあった。

●日本の稲は中国と朝鮮半島から、複数回・複数コースで違うタイプが来ている。

稲のSSR多型にRM1領域という遺伝子的特長がある。
日本のイネにはaタイプとbタイプがある。朝鮮半島にあるようなそれ以外のタイプが存在しない。
しかし中国にはabのタイプがある。朝鮮にはaしかない。
つまり日本のコメはbタイプは間違いなく中国から入り、aタイプは中国か朝鮮から入ったことになる。
これは米が日本へは複数回、複数経路から入ったことを語っているのである。

●熱帯ジャポニカはどこから来たか?
温帯ジャポニカはほぼ朝鮮半島経由の長江人子孫が持ってきたと見られる。
ところが熱帯ジャポニカのような古いタイプの米はどこから来たのか?
まず長江ダイレクトコースと琉球列島経由が考えられるが、どちらも今の主流派説ではなくなって来ている。しかしタイプから見ると熱帯ジャポニカは朝鮮半島から来たのではなさそうである。

●ジャポニカとともに人は玄界灘に来た
そう考えたほうがいいと思っている。
つまり縄文時代に北西九州と朝鮮半島南部に同時に到着したと筆者は考える。
なぜならば玄界灘を挟んだ両地域には同じ倭人という人種が入ったと思われ、両岸地域を含めて玄界灘こそが倭人の「住処」だったからである。国境など彼らに関係ない。自由に海人族は往来した。だからこそよく似た土器や釣り針が双方で出るのだ。日本側でそれらは有明海、東シナ海沿岸域で出てくる。そして最古のプラントオパールも佐賀県など北西部から有明海が早い。

だから当初は玄界灘から日本海沿岸域が先進地だと考えていい。
ゆえに神話でも出雲から先に侵略された書き方になる。
そのころ南部では縄文の焼畑が隆盛していて、あとからここに天孫降臨が起きる。
出雲・日本海沿岸は北西部九州のつぎに渡来人が最初に進んでいった道にあるわけだ。
神話は北部九州の侵略について触れていない。触れるはずはない。そこに一番に来た、そこで縄文と融和してそこを高天原とするからである。


●bタイプは唐古鍵、池上曽根から出ている
半島にないタイプで、長江にはあるbタイプの米が出たのは近畿地方が多い。
つまり長江人ダイレクト東遷した先が近畿なのである。だからbタイプ=在来縄文人の栽培種と一概に決められず、縄文時代にも長江やインドネシアあたりから移住があったと見なければならない。

つまり縄文時代人は一種類ではなく、もちろん南方系・北方系だけでもなく、すでに何種類かの遺伝子が入り込んで住み分けていた可能性が高く、弥生人は彼ら渡来の先輩たちとも交雑したと考えなければ、今の日本人の複雑な遺伝子雑居は読みよけない。

日本人を縄文人と弥生人の交雑種で、言葉もその二つの交雑したもの、などという大昔の単純な割り切り方をしたのでは、日本人は一生見えてこないことになる。時代を経て何種類もの道のりで、何種類もの人々が流されてきた堤防が日本列島なのだ。

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