■中東の歴史
中東(西アジア)は紀元前4000年前から世界に先駆けて都市文明を発達させた。
最新の西欧科学は人類発祥の地をアフリカ大地溝帯だとしているが、西アジアは人類分岐の地であり、栽培農法、製鉄などさまざまの文化の発祥地でもあるともされる。つまり現在主流のミトコンドリア・イヴ人類紀元説では、西アジアから欧州人、アジア人が分かれたとされている(アジア単独派生説はここではひとまず置いておく)。


中東は当時の最先端の場所だった。
しかし10世紀頃からは中国江南の米と発酵食品の文化圏が大発展し、経済力で東アジアが上回るようになる。不幸なことは14世紀から15世紀に大流行した黒死病が蔓延し中東の人口は激減。経済力は大幅に衰える。
黒死病は欧州でも流行ったが16世紀までに画期的な復興を見せ、人口は増加している。しかし中東ではその後も天候不順が続き、飢餓と流行病が頻発。オスマントルコやサファヴィー朝以外は低迷を続け、結局砂漠化してゆく中に取り残されてしまった。
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イスラーム世界の17世紀にはインドのムガール帝国、イランのサファヴィー朝、西アジアから北アフリカ、バルカン半島までの広大な汎地を占めたオスマン帝国という三つの王国があった。
この時点ではスペインやフランスやイギリスよりも軍事力、経済力で圧倒していた。ところが18世紀になるとサファヴィー朝が滅亡しイランが混乱。ムガール帝国も解体し群雄割拠となる。国家は衰亡したがかえってイスラームの原点回帰は進むことになった。歴史では混乱期こそが宗教が台頭する。新時代をまとめようとするとき、常に宗教による意識をとりまとめようとする運動は起こるのである。

この間に世界では西欧とロシアが台頭し始める。
ロシアは16世紀にオスマン帝国の東北辺の草原地帯(ウズベキスタン・アフガニスタンなど)を征服して、神聖ローマ帝国、東ローマ帝国からの流れにあるロシア正教徒の国家を作り始めていた。現在のクレムリンなどがイスラーム建築をそのまま利していることはよく知られている。

イギリス帝国主義は18後半から19世紀にインドを植民地化。オランダなどもインドネシアを、フランスはマグリブをそれぞれ植民地化。
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イスラーム世界は独立運動でエジプトが独立。しかしすぐにイギリスが占拠。スーダンでも新イスラーム運動によって独立したが細分化してしまう。オスマン帝国は再生の道を歩みだすが、人々がまとまらなかった。そんなとき、東アジアのはじっこにある小国日本は日露戦争のさなかにあった。そしてバルチック艦隊を打ち破った名声はオスマン帝国にも届いてきた。日本のような立憲君主国こそが勝利への道であると考えたイスラーム世界では憲法を求める声が上がり始める。しかし諸派分立したままの旧態然の世界ではなかなか改革は進まない。ついにスルタン制度を打ち破ってトルコ人青年たちが立憲国家による統治を始めた。しかしバルカン半島の民族独立紛争はついに第一次大戦を引き起こすこととなった。



産業革命後、西欧科学文明が世界を席捲したことによって、イスラーム世界の事跡はすべて西欧に剥奪された格好となってしまう。世界のすべての文化はギリシア文明を嚆矢とする白人西欧から始まったのだという定説が、まことしやかに世界中を支配した。その中には活版印刷や製紙、文字などのあきらかに中国のほうが早かった文化も含まれていた。世界の支配は完全に西欧人、北半球のものとなる。
シュメール・メソポタミア・アッシリア・アナトリアの栄光はすべて白人に剥奪された格好となった。


現代、中近東は主としてアメリカ人学者という新世界の人々によって、白人分岐の地として再認識され始めている。彼らの主食である小麦、キリスト教には欠かせないワイン、ブドウ栽培、最古の酒であるビール、羊皮紙、パピルス紙、海洋貿易など、それまで白人たちが当然のように自らが発明してきたと考えてきた多くの西欧文明を象徴するようなものがみなレヴァント、西アジアで生まれたこと、また東アジアでも三大発明がとっくの昔からあったことも、アメリカ考古学によってはっきりしてきている。

世界史ははっきり言ってこれまで西欧歴史観によって定説化、常識化されてきた。しかし実際には宗教から文明までほとんどが中近東から生まれ、西欧人がギリシャから学び取った発明は科学だけであることがはっきりとしてきた。そしてその西欧科学こそは地球環境を悪化させ、奪い合いを産み、化石資源を食い尽くしてきたのである。

イスラームのムスリムたちは黄海から船出した、西欧世界最初の貿易者でもあった。コロンブスやバスコ・ダ・ガマなどよりもはるかに早く、バグダットのシンドバッドたちは世界の海へ乗り出した海洋民でもあったのだ。西欧文明はわずかに100年しか最良の時代を過ごすことができなかった。その結果が日本の震災による原発事故に表出していると言っても過言ではあるまい。

化石燃料と危険な原子力による20世紀の全発明は、ただ地球の崩壊を早めてしまっただけである。われわれはかつての精神世界を再構築し、新たな時代を迎えるべきときに来ているように思える。イスラーム世界やラピタ・オーストロネシア世界、縄文時代のような「理想郷」をもう一度別の手法で模索していかねばなるまい。そのために過去のそうした文化、文明に知恵を求めるべきなのかも知れない。


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