「日本語の起源」とは書かない。
それについては明治時代からさまざまの説が出されてきていることは周知の通りであるが、いまだに結論は得られていない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E



いや、得られていないと書くと誤謬があるかも知れない。実はすでに日本語の起源はそれらの諸説を統合することで、すでにすべてが展示されてしまっているのだろう。それをどのように説明するかが問題になっていると言っていい。つまり日本人は遺伝子分析や民族学、人類学などの視点から見て、世界にまれな複合民族であるという結論から、日本語もその複雑怪奇な習合文化のひとつとして民族考古学、人類学の視点から捉えるのが正しいだろう。

■日本人はあいまい
日本人の特徴を言う場合「あいまい」は最もよく我々を表す言葉になる。私達があいまいではっきりと自分の意思を人に伝えようとしない民族である理由は。とりもなおさず日本人がまれに見る多くの遺伝子を持っていることと起源を同じくする。
さまざまの言語、文化が集まってきたからこそ、それぞれが喧嘩しない文化=和の世界を作り出す基層となっていったことは、おそらく日本人のほとんどが納得できるはずだ。

■遺伝子もあいまい
世界の民族で日本人ほど来歴不詳な国民はいない。
それだけ多種類の遺伝子を体内に持っている。
ただ、遺伝子学では弥生人の「多くが」長江文明人の血脈にあって、縄文以前のバイカル湖起源の北方系民族(簡単に言えば縄文人、先住民)と混血したことは明確である。
ところがそれ以外に基層部にもっと別の、わずかだが、海洋民の血潮もちゃんとそこには残されていることもこれまた確かなことである。
つまり弥生人も一種類ではなかったし、縄文人も一種類ではなかったし、そのまた前には新石器時代人も旧石器時代人もいたわけである。

日本人は、海に囲まれ、ユーラシア大陸の西から東へ、という「風」の最も風下にある。そこはユーラシア、インド亜、スンダ、サフル、南島のすべての地域からすべての人々が来る可能性が常に存在した。ただ順番が時代によってさまざまあったというだけのことだ。

■日本語
世界の言語約3000種類の中で、ふたつだけ、まだその来歴が確定できない言語がある。
ひとつはバスク語であり、今ひとつが日本語である。


バスク語はスペイン・フランス国境のピレネー山脈に「陸封」されたセム系?言語である。つまり先住民としての山の民に残った希少種である。

日本語はまったくその反対に、あまりに多くの言語要素を持ったために、その中心基層がわかりにくくなってしまった世界で唯一の奇妙な言語だと言える。ところが日本語を使う人口は世界に一億人以上いる。これまたきてれつな話であろう。単一国家しか使わないのに一億人いる。これはヒンドゥ教の信者数の多さと同じ概念になる。

同じ大陸の両端に存在するイングランドと比較すると、日本は広大な海域に囲まれており、西にこれまた広大で多種多様なアジア文化圏を控えているが、ブリテン島の場合、西の南北アメリカ大陸は過去、人類がほとんど存在せず、東は同一文化圏のヨーロッパとアフリカがあるだけである。

■古代日本語はピジン・クレオール融合言語の北の末端
ピジン・クレオールとは東西オーストロネシアンの言語融合から始まった概念。
オーストロネシア言語には東南アジアそしてオセアニアという東西大きく分かれた言語体系の融合したピジン言語だと把握される。そうなった理由は人類の出アフリカの二度のイベントに起因すると言えよう。
早期にオセアニアに辿り着いていたアボリジニ系のアフリカン色の強い人々と、あとからスンダランドにやってきた南方系アジアンの人々とが、はるかな海で交流を続けた結果生まれたのがピジンオーストロネシア語で、そもそも島人、海洋民のコスモポリタンな共通語だと言える。その後欧米人の植民地化で英語と融合した昨今の言語をピジン・イングリッシュと言う。
日本語の基層に絶対的に、大陸国家とは違う言語特徴がある。それはハワイ、南島の言語に共通する母音が必ず子音に付属する音節言語であることだ。
こういう基本的な部分は間違いなく、最古の時代に作り上げられた言語である。つまり日本語の最古の根幹部にはオーストロネシアと共通のピジン・クレオールが否定しようもなく存在する。この基層に、あとは順次、「外来語」「外来文法」が入ったのである。

入ってきた言語は、朝鮮語(アルタイ言語系の文法と最新文化に使う単語)、中国語である。

■縄文語
南島言語とは別に、列島北部にはバイカル湖起源の北海道東北縄文人およびアイヌが入ってくる。考古学的に彼らはすぐに南から船で来た南島文化人たちと融和していることがわかっている。土器、栽培、釣り針などの交流である。音節言語の言葉もやや形を変えてではあるが、すぐに東北人に取り込まれていったと考えてもよかろう。南北の融合はつねに船の民によって先導されたことだろう。最新の呪物、産物、技術を運んでくる「まれびと」「来訪神」だったと考えられる。東北縄文後の基層は朝鮮半島北部人に共通する(縄文人のツングース系血脈と朝鮮北部人フヨ族は遺伝子的に若干離れている。混血の度合いが大陸の古い時代に違っているのだろう)。朝鮮民族も内部海岸部にいたのは海洋民、倭種だったはずなので、半島人も日本人とよく似た融合をしていることになるだろう。ただ、半島の歴史は北から南への侵略の歴史ゆえに、より北方系が強く残ったことは伽耶、百済の滅亡からあきらかだが、日本は融和国家、連合国家であったために奪い合いよりも住み分けが行われ、方言が多種多様となった。弥生人も縄文人も基層語として当初からあった海洋民の発音を選んだ。なぜなら母音を明確に発音することで意思の疎通はだんぜん早く可能になるからだ。こういうのをスペイン語では「リンガ・フランカ」という。「ラング・フランク」つまり言語融和である。

そもそも海洋民が音節語を用いたのも、海の上で船と船との間で会話するとき、潮騒にかき消されがちな言葉をよりはっきりとさせるための選択だっただろう。


■類似
島人に共通する食物である海産物。
その中で日本語で「さかな」「うお」については実に明確に、ピジンオーストロネシア語で「イオ」である。安本美典はこのような単語を「基層語」としていくつも集めている。

畳語
同じ言葉を繰り返す。
ルング・ルングなどの繰り返し強調。日本語では擬音語、擬態語、関西弁に顕著。

形容詞比較級の欠如
名詞の性別欠如
主語に影響を受けない動詞
時制の欠如
音韻交代の頻度の高さ
名詞単数形複数形観念の欠如(単数を表すa、複数形sなどがない)
eで始まる単語の希少性


■違うところ
「ラ」音で単語がほとんど始まらない。
「ン」で始まる単語がなくなった。例証「んま」→うま
これは朝鮮語に共通するから、新着外来語が朝鮮語が多かったことの証拠。製鉄や土木などの技術的専門用語はほとんど朝鮮語だったはず。明治以降、医学用語がドイツ語が多かった程度の類似である。

宗教用語は中国語、それも漢音と呉音の両方があるから、南北の文化が入っていることになるだろう。



日本語の基層はまずオーストロネシア語の列島先住語・東北縄文語とのピジン・クレオール化に始まったと見てまず間違いないだろう。これは今後定説になってよい。いや、遅すぎると言える。その後、中国語。朝鮮語、アメリカ英語などが順次ピジン化して現代の日本語が完成する。

■アイヌ語
すでに以前分析したことだが、アイヌは陸封型縄文「時代」人で、東北北部まで南下したが、その後の温暖化で北海道に戻ってしまっている。東北地方の地名のわずかに痕跡を残した。
最南下の可能性は日本海側出雲地方だが、これらがアイヌ語起源と言う確実な理由は見当たらない。みしろ東北縄文語とアイヌ語にはそもそも共通性があったはずで、縄文人の地名だった可能性のほうが、考古学遺物と交流の歴史からはふさわしかろう。影響はほとんどなかったことは、倭人種との血脈の交叉がほとんどないことからあきらか。

■琉球語
その点、琉球語には共通性が多い。これは貝の道で南、西九州人との古い交易があったことが影響。その後も琉球へは多くの西九州人(長崎、佐賀、天草)が移住して、現代の琉球言葉は相当に影響を受けている。ところが海を隔てた先島・八重山言葉は北琉球とはまったく言語大系が異なったままできた。

■北海道弁
言語学的には北海道なまりというものは実は存在しないことになる。当然、歴史が新しい。屯田兵、開拓民の出身地の言語がまだ完全なピジン化を生み出していないので、地域によって大きななまりや単語、風習の違いが残る。開拓者の多くは東北人、南九州人などである。

■弥生語
少なくとも四種類以上の言語があったと思われる。
長江系、黄河系、朝鮮南部系、北部系(これはわずか)、南九州系、さらに基層の先住日本語。
それぞれ甕棺墓、周溝墓、支石墓、土壙墓などの多種多様な弥生墳墓をもつ民族が来た考古学的証拠が存在。日本語が北部九州でまずミックスされ、次に瀬戸内、最後に大和で分散する。そのとき中心部の大和地方に入った為政者だけが今の関西弁イントネーションを作り出した。つまり関西弁は長江中国語を基層としたイントネーションだけを選択した地域限定、身分限定言語。これがやがて民間にも使われ関西弁ができあがった。上海語イントネーション。


日本人は大小10種類以上の人種と言語の複合体だと言える。
最古の基層言語がツングース語とオーストロネシア語。


■オーストロネシア語の日本語への影響を主張する研究者
安本美典
泉井久之助
村山四郎
崎山 理
川本崇雄
本多正久
後藤 明

参考文献
後藤明『海の文化史』


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