アメリカではバードカービングと呼ばれる水鳥デコイの歴史は、西欧では17世紀のオランダまでしか遡れない。




de kooi(オランダ語:鴨の囮)
これは、集団生活をする鳥が、仲間の姿に惹かれることから、待ち伏せた池にカモの模型を浮かべ、それを仲間と見て集まってくる獲物を狙うものである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B3%E3%82%A4



ところが日本ではデコイほどのリアルさはないが「曲水の宴(ごくすいのうたげ)」に用いた鳥の木造擬似物が存在する。
奈良時代、中国の蘭亭において王義之(おう・ぎし)が催したという三月上旬の禊の礼を、遣唐使が持ち帰り、曲水の庭を造ってこの鳥の背中に杯を乗せ、曲水を鳥が流れる間に和歌を詠むという、ご存知よく知られた趣向である。


このデコイは背中に杯を受けるための穴があり、名前を「羽觴(うしょう)」といい、中国でも故事にちゃんと記載されている。

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「中国から伝わり、平安時代に流行した「曲水の宴」。
現在、京都では上賀茂神社(4月第2日曜)や城南宮(4月29日と11月3日)で見ることができます。遣水と呼ばれる流れにお酒の杯が流れてくるわけですが、水面に直接杯を浮かべますと、うまくいきません。そこで木で作った水鳥を浮かべ、その背中に杯をのせるのです。この水鳥の模型を「羽觴」と呼びます。」
http://www.kyotoliving.co.jp/article/120428/quiz.html


「羽觴(うしょう)とは、曲水の宴(きょくすいのうたげ)において、酒盃をのせて遣水(やりみず)に流される台のことを言います。「羽」は鳥の羽根、そして「觴」は盃(さかずき)のことだそうです。「觴」という字の偏(へん)は「角」で、旁(つくり)は「傷(きず)」という字の右側と同じです。中国は唐の時代に羽根を重ねてその上に盃をのせて流したことに由来するそうです。 」
http://www.geocities.jp/dst_tx/siraberu152_usyou.html

●「羽觴(うしょう)を飛ば・す」
《李白「春夜宴桃李園序」から》盛んに酒杯のやり取りをする。
http://kotobank.jp/word/%E7%BE%BD%E8%A7%B4%E3%82%92%E9%A3%9B%E3%81%B0%E3%81%99

うしょう ―しやう 【羽▼觴】
〔もと雀にかたどって翼の形をつけたところから〕酒杯。さかずき。羽爵(うしやく)。
http://www.weblio.jp/content/%E7%BE%BD%E8%A7%B4

羽爵寛弘黒漆。寛治作_水 鳥繰色ー。置盃可,被 レ用ニ. 寛治例一之 由。各申レ之。
「即ち,寛 弘四年(1007)の. 道長による曲水宴には黒漆. で塗った盃台を 用い,寛 治五年(1091)の. 師通のときに. は水鳥の盃を使った」
www.jstage.jst.go.jp/article/jila1934/49/4/49_4_246/_pdf


この日本の鴨であるが、鴨氏は主水(水取り・もいとり)を担当する水の氏族・水守を主な仕事としており、「みずとり」=「水取り」で水鳥を名にした鴨氏族である。
その水と鳥の話は神武伝説の金鶏(きんけい)伝説やヤタガラスの話になっているのであるが、その神武を助ける二種類の鳥の伝説は、どうも西アジアにあるのではないか?
例えばアレクサンダー大王の鳥に運ばせる格子部屋の話など、やはり大王を救出する小道具になっている。

ペルシア神話に、そうした鳥を囮にするような話はないのだろうか?


曲水宴と鴨氏
下鴨神社には糺の森と瀬見の小川があり、曲水宴が模様されるが、瀬見小川の水口には丸い池になっており、ここに鴨が遊んでいる。森を流れる小川は4つあり、それぞれ御手洗川・泉川・奈良の小川・瀬見の小川と名付けられている。御手洗川は湧水のある御手洗池を水源としている。糺の森の東側を流れる泉川は高野川の支流である。奈良の小川は御手洗川に泉川の流れの一部が合流したもので、賀茂川の支流である瀬見の小川に取り込まれて糺の森の中央を流れる。この糺の森とはもともとは木嶋坐天照御魂神社の元糺の森から、秦氏の影響でここにも作られたのだという話がある。



              糺の森と瀬見の小川

いわゆる「みたらし団子」の発祥地だとされているのが御手洗池である(同様の伝承は各地の御手洗池にもある)。

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ここから湧き出る泡を人に見立てるとも聞くが、あわとくればオノゴロ嶋の国作り神話を思い出す。
二番目のできそこないの子供・ヒルコを水に流す話である。海に流すというのは=再生による復活祈願であり、彼岸=黄泉で再生された祖霊として再びこの世に新生児になれという願いの世界中にあるまじないである。
それを鴨氏が行う。

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         糺の池


ところで日本古代の池の形はもとは丸かったが、ペルシア人工人渡来以来、それが四角くなったという説がある。

なかなか面白い話ではあるまいか?
で、ペルシアの宮殿遺跡を見てみると・・・
イマーム宮殿は今は公園になっているが、モスクや宮殿が取り囲む真ん中の池は四角である。
http://homepage2.nifty.com/hashim/iran/iran002.html









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