嬰児の月齢変化






直前記事のはみだし画像。


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◆人面把手付土器は産湯を入れたか?濁酒を入れたか?


把手部分のある土器のフチは、ほかの実用土器よりも幅広のフチがつけられており、これでは中の煮物を取り出しにくい。なんのためにわざわざつけられたのか?

上から見ると、女神の顔がある突出部分から把手部分まで、このフチがちょうど祈りを捧げる女神の腕になっていることがわかる。しかしそのためだけではないだろう。田中基はこの土器や深鉢の中身は濁酒(どぶろく)だったのであり、その白い液体こそは父親の精液を表したと考えた。

人面土器や香炉土器とともに両側や片側に注ぎ口がついた土器が出てくる。




この注ぎ口の手前には男の顔が描かれる。つまり注ぎ口がそのまま男の男根に見立てられたつくりなのであるという。
古墳時代には古墳そばの水流分岐点で水祭祀が行われ、祖霊の回帰を祈って「はそう」という注ぎ口のない土器で水をこぼす儀式が行われていた。注ぐときに竹製の注ぎ口を巫女や巫師がそっと差し込んで、マジックのようにスムーズに注いだことを以前書いた。
縄文のシャーマンは白いドブロクをニョイン型の炉に注いで擬似性交させていたというのである。

なるほどであるが、違う見方もできる。
土器を煮炊きや祭祀に考えたいのは考古学者の学術的嗜好性だろうが、なぜ産湯をわかしたとは思えないのか?

この祭祀場はもしや出産儀式だったとしたら?
実におめでたい祭祀になるではないか。
人面土器には中から吹き零れたあとがあるために、学者はこれは煮炊きに違いないとするが、お湯ででもひきこぼれは起こる。その煮沸した産湯をさましてから産婆は赤ちゃんを奇麗に洗い上げる。つい戦後まで助産婦といえば「お湯をわかしなさい」である。
たらいのふちは少し幅広で、そこに重たい初児の尻をあてがうと、持つ側はかなり楽である。

ふと気がついたことではあるが。


◆把手部のふたつの穴は新月と満月
把手部には大きな穴が二つ、両側にうがたれている。
実はこの穴は古い時代の土器では、突出部として人面が在る場所ににも存在した。そこのはもともと女神の顔としての大きな目で存在したのだと思う。

ところがある土器で、片目が開いていないものが出た。右だったり左だったり一定しないが、片目の顔がついていた。こういう絵柄は仮面でもある。片目が開けられていないのである。
片目であるならこの女神は生贄ゆえにそうされたことも充分考えうる。
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同様に顔面の片側が紛失した仮面なども、泣いているところを見るとどうも生贄だった可能性もある。

泣く刺青とか仮面の縦線が、どうも民間伝承と関係しているようである。
埼玉県や群馬・茨城といった風土記で生贄記事の多い地域に、民間で正月元旦、芋やトロロや粥を食いながら亭主が囲炉裏にじかに脚を突っ込んで、立ったまま泣くという奇妙な風俗が記録されている。
どうも考えてみればこれは正月の追儺の生贄の末期の食事風景ではあるまいか?死んだ生贄が祟らぬように、住人たちが生贄をしのんで、いや悪霊が祟らぬように同じ行為をしてみせたか?
これは筆者オリジナルの解釈。


    メキシコの泣く土偶




   泣く仮面


いや、これを新月と満月だとする説も在る。つまり農耕に関わる暦・・・月読としてのオオゲツヒメだとするアイデアである。するとカエルのような人物が両手を広げて、その両手が上がっている構図と、下げている構図が同時に描かれている謎が見えてくるというのだ。




メキシコのことわざで、「農耕の神は冬は手を下げ、春は手を上げる」というのがある。
古代には一年は年に二回あり、春の種まき~収穫の秋までを一年。そのあとの冬至から節分・立春までを一年としていた。そういうことを神が示すと言うのである。なるほど人物は湾曲する両手をひろげているが、途中から別の手がにょっきり出ていて、まるで蝙蝠の翼手のようにも見えるのは不思議であった。
これはちょうど千手観音とかヒンドゥーの三面六臂(阿修羅)のように、両手を上下させている運動を切り取った絵柄である。





ということはこれは農耕儀礼になるので、生命誕生は農作物の萌芽の祈願になって、結果、米で作るドブロクがぴったりする・・・。ところが縄文中期末から後期初頭に米が来ていなければドブロクは作れない。稲作以前の酒は口醸み酒で、材料は果物が主流である。すると白い精液のような酒にはならないだろう・・・???


この答えはいまだに保留してある。


◆目・鼻・口から生まれる胎児
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この女神の鼻には胎児がいると田中は言っているが、さて?
目や鼻や口から子供が生まれるという伝承は記紀神話以外にも世界中に散見できる。実はこの女神も片目である。


つづいて縄文住居の女体構造



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