◆まれびと
「外部からの来訪者(異人、まれびと)に宿舎や食事を提供して歓待する風習は、各地で普遍的にみられる。その理由は経済的、優生学的なものが含まれるが、この風習の根底に異人を異界からの神とする「まれびと信仰」が存在するといわれる。
「まれびと(客人)」の称は1929年、民俗学者の折口信夫によって提示された。彼は「客人」を「まれびと」と訓じて、それが本来、神と同義語であり、その神は常世の国から来訪することなどを現存する民間伝承や記紀の記述から推定した。折口のまれびと論は「国文学の発生〈第三稿〉」(『古代研究』所収)によってそのかたちをととのえる。右論文によれば、沖縄におけるフィールド・ワークが、まれびと概念の発想の契機となったらしい。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%B3%E3%81%A8



     シロマタ



     クロマタ



  宮古島のパーントゥは「千と千尋の神隠し」の「顔ナシ」にそっくり

常世神とも、異人とも、精霊とも言う。
島嶼にのみ残存する来訪する精霊である。
南はニューギニアから北は日本列島まで広く点在し、日本本土の祭りの神にも類似、あるいは変形したと思われるもが到来している。中国南朝の江南少数民族の神である大地母信仰とはまた違って、より古い精霊信仰である。
こうした南島から日本列島へ広がる島嶼文化は、太古から環太平洋東岸部における舟人の往来によって島々がつながっていた一万年以上も前からの古い文化往来があったことを証明し、スンダランド~台湾~尖閣諸島~先島~琉球列島~日本列島まで、ひとつの民族的なつながりがある文化圏であったことを語っている。さらに太平洋の中央部から小笠原までにも別のまれびと文化圏は広がっている。こうしたことからも、日本がその「まれびと文化圏」「ニライカナイ」「テルヤカナヤ」「ネリヤカナヤ」信仰の北の端にあって、中国とは別の島嶼まれびと文化圏を形成してきた歴史は、琉球から先島、八重山そして尖閣までを領有するにふさわしい文化国家であることを証明できるだろう。

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   ボゼ
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   マユンガナシ

まれびとは日本の歳神やトシドン、さらに青森や秋田のナマハゲに類似する来訪神同様に、その多くが大晦日の年越し行事であり、つごもり行事である。それは籠もる島人のもとへやってきて幸福をもたらしてくれる精霊である。

常世とはあの世でもあって、理想郷でもある。
なにゆえに「とこしえのくに」かと言えば、死=永遠という観念が太古では普通であったためである。
太古の有史以前には、ヒトはあまりにも早く死んでいった。幼児は生まれてもすぐ病で亡くなり、まれでなく生まれる前に母子ともに死ぬことが多かったのである。すると現代のようなむしろ稀有な夭折なき時代とは違って、生よりも死こそが永遠の生命の在所であるというパラドクスが生まれてきた。もちろん今でもヒトは生きる時間よりも死後の時間の方が永遠なのであるが、命短い時代にはそれこそが常世という幸福を実現できる蓬莱世界なのであった。

島嶼ではその常世が、大陸観念のように上下・天地関係にあるのではなく、海を隔てた彼岸、つまり海の彼方にあると信じられた。すると海の向こうから島々を伝ってやってくるはるかなDNAを同じくするかも知れない同胞を迎えいれるゲスト・歌垣のような儀式が生まれていった。こうした島々における常世思想は、大陸の常世思想とは違い、水平方向の広がりを持つ。
神は海の彼方から異形の姿をして舟でやってくる客人なのである。



    甑島トシドン


    石垣島アンガマ



    ドイツミッテンドルフの「シャープ」


●仮面の海からの来訪神が登場する祭一覧
能登半島・・・アヘノコト(あえとは阿閉。和え物の「あえ」)
秋田・・・ナマハゲ
岩手・・・スネカ
石川・・・アマメハギ
山形・・・アマハゲ
長野南部新野・・・新野雪まつり
奄美大島・・・テルコナルコ
鹿児島県甑島など・・・トシドン(歳神)
八重山・・・アンガマ・ミルク・フサマラー・マヤの神・トモマヤ
宮古島・・・パーントゥ
西表島・・・アカマタ・クロマタ・シロマタ
沖縄本島北部・・・海神祭(ウンガミ)・アガリの大主・ガナシ
石垣島河平(かびら)・・・マユンガナシ
韓国済州島・・・ヨンドンクッ
中国湖南省・・・マオグースー
貴州省イ族のツオタイジ(変人戯)
   広西チワン族自治区ミャオ族のマンコウ
   広西チワン族自治区チワン族の青蛙節など13種以上
トカラ列島・・・ボゼ
ニューギニアタミ島などポリネシア、ミクロネシア、ビスマルク諸島などに無数に点在
北欧諸国各地の冬至祭・・ループレヒト・ブッテンマンドル・シャープ・ヘルシェクラーゼ・クランプス



画像は日本図書センター『日本民俗写真体系5 南方世界との交流』・田中基『縄文のメドゥーサ』
参考 来訪神の民俗学――アカマタ・クロマタ、シヌグ、海神祭―― http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=ygljbygf7b0J&p=%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%82%BF&u=www.isc.senshu-u.ac.jp%2F%7Ethb0309%2FEastAsia%2Fraihoshin.pdf#search='シロマタ'
未来芸能者!超モドキの発生 http://blogs.yahoo.co.jp/kajyou88/41759008.html
諏訪春雄通信http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~ori-www/suwa-f11/suwa109.htm
もうひとつのクリスマス1http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/51469098.html

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