人類は極寒の氷期を営々と生き抜いた。
体毛をなくしてもしばらくは寒冷地に対応する表皮や外見を得ないまま、なぜか生き抜いてこれた。

その最大の要因は、火の発見と毛皮の発見だった。

もし人類が肉食を選ばなかったら、毛皮は発見できなかっただろう。
旧石器の遺跡では、しかし、すでに骨製の縫い針が見つかる。
毛皮そのものは有機物で残りにくいが、針があったということは、食うために捕獲した動物から皮をはぎ、それを体躯にあわせて縫い合わせたことがわかる。

最初の毛皮衣服は、単なる皮をまとうだけのものだっただろうが、ではその姿で行動的に次の狩猟に出るにはかなり無理があっただろう。

やがて人類は毛皮を切り貼りして、自分の体型にフィットした衣服を作り始める。必要が生んだ最初のファッションである。


それに要した時間は、1000年。




意匠への意欲は、あるとき突然爆発した。
それが温暖期の始まりであり、新石器時代の幕開けだった。
その懲りへの開眼は、地球のダイナミズムによるところが大きかった。







転じて、今地球がもし突然氷期に戻ったとしたら、私たちは、ほとんど滅びてしまうかも知れない。けれどもともと厳寒の大地に生きているロシア人などは、なんてこともなく生き抜いてゆけるのかも知れない。




環境が劣悪な場所を棲家にするしかなかった人々が、そのように大地に、棲家に固執するのはちゃんと理由がある。しかるに日本人はずいぶんそれと比べれば、狭いけれどいい環境に生きてきた。そういうところにロシアだけが国連憲章の中の、敵国条項にこだわり続けねばならぬわけがある。



長い歴史を知っていなければ国際交渉はできないのだ。


北方四島返還にこれが大きく関わっている。


中国の尖閣諸島欲しいとロシアの四島へのこだわりは同じ問題である。そこに米軍が基地を作ると困るからである。これがある限り、これらの問題はなかなか進むはずがない。それができたらプーチンはノーベル平和賞だ。