核ゲノム分析の重要な発見のひとつを、この記事のタイトルにした。
どんな意味があるか?

アフリカ人の遺伝子には旧人類=ネアンデルタール人の遺伝子は見つからない(海部2016・ハリス2016)。つまりわれわれ新人類は、アフリカを出てから旧人類と「「結婚」してみた」ことがあったということだ。

これをさらに拡大するといくつかの疑問が当然出る。
●では新人がチンパンジーやゴリラ(人類と同じ霊長目ヒト科動物)のどっちかとまぐわったのか、

●それとも旧人が先にまぐわっていて、それがわれわれに共有されたか?

アジア人と欧州人のどちらにも、ネアンちゃんの遺伝子が同じくらい存在する(印東・海部2016、ハリス2016)。だから、アジア人と欧州人の遺伝子はアフリカ人以外にネアンちゃん的だ。だから、われわれが進化し、生き残れた遺伝子には、ゴリラやチンパンやネアンちゃんたちが引き継いできた共通の遺伝子が一部だが引き継がれ、厳しい自然を乗り越えることもできたことになるのかも知れない。


すると12%しかない縄文人遺伝子だって、日本人が生き残るためには重要な因子のひとつだったことにわれわれは気がつき、感謝するべきだという発想が生まれる。



疑問ひとつあり。
人類と同じようにアフリカ大地溝帯を出て、平原に住むことになったヒヒ類。同じように肉を食う。なのになぜヒヒは人類の先祖にはならず、ヒヒのままなのか?

ヒヒは地溝帯の西側へ出て、人類は東側へ出た。この違いが大きかった。

なにが違ったか?

西側よりも東側が、ひどい乾燥をもたらす偏西風の影響が大きかったということである。





人類とはなにかを追求するとき、現代の政治的要因による人種差別は無関係である。このことにまず気がつかねば歴史をやっても意味がない。そう思う。