日本の古代の渡来系氏族のパーセンテージを、『新撰姓氏録』からずいぶん前に筆者はHPで割り出している。
『新撰姓氏録』氏族の割合
氏族数 全1182氏族の中の割合 諸蕃326氏族の中の割合 左京居住数 左京占拠率
皇別 335 28.3% 103 38,6%
神別 404 34,2% 81 30.3%
諸蕃漢系 163 13.8% 50% 39 14,6%
高句麗系 41 3.5% 12.6% 15 5,6%
百済系 104 8,8% 32% 14 5.2%
新羅系 9 0.76% 2.8% 1 0.37%
任那系 9 0.76% 2.8% 3 1.1%
雑姓 117 9.9% 11 4.1%
氏族数 全1182氏族の中の割合 諸蕃326氏族の中の割合 左京居住数 左京占拠率
皇別 335 28.3% 103 38,6%
神別 404 34,2% 81 30.3%
諸蕃漢系 163 13.8% 50% 39 14,6%
高句麗系 41 3.5% 12.6% 15 5,6%
百済系 104 8,8% 32% 14 5.2%
新羅系 9 0.76% 2.8% 1 0.37%
任那系 9 0.76% 2.8% 3 1.1%
雑姓 117 9.9% 11 4.1%
合計 1182(諸蕃326) 267
もちろんこれは首都平安京の800年代前半(嵯峨天皇治世・弘仁年間)の左京における割合ではあるが、そのうち諸蕃(渡来系)氏族の内訳では、
百済系・・・32%、
新羅系・・・2.8%、
高句麗系・・12.6%
である。
また、左京全体氏族の割合では、皇別・神別といった旧来からの日本在住氏族が約7割を占める中にあって諸蕃氏族は、
百済系・・・8.8%
新羅系・・・0.76%
高句麗系・・3.5%
漢系・・・・13.8%
である。
※新羅系が少ないのは秦氏・漢氏が漢系に入れられているからで、双方を新羅系に移せばその割合は百済系に匹敵あるいは上回ると思われる。
※高麗とあるのはこの書物では高句麗である。
※左京とは京都御所近くで、有力氏族が居住していた地域。
おまけ知識・・・京都人が今も、京都は右京・左京だけやとよく言う理由はこれ。最古級の有力豪族が住んでいた地域だからである。しかしそれがやがて焦土となってからは武家屋敷になり、今となればそれもわずかしかなく、ほとんどが商家である。さほどのこともないのだと思うほうがよろしかろ。
なお、上記HPページにそれぞれの具体的氏族名が総覧にしてある。自分の苗字の気になる人はそちらも見ておかれたい。ただし現在の氏姓が必ずしも古代氏族の直系であるわけではないことはお忘れなく。大多数は同姓であっても部民であり貴族の直接の血脈とはいいがたい。地名になって明治時代に名乗ったケースもかなり多い。古代には管理貴族階級と被管理者は同じ姓を名乗っていた。それは朝廷の戸籍管理上の問題であろう。つまり古代には氏姓はそのままその集団の役職まであらわしたのである。
平安から中世には武家の地名名乗りも増える。それらを混同して、できるだけ階級上位の由来を選びたい人は多いだろうが、ちゃんと調べたほうがよいだろう。仲間内での自慢にはなるだろうが・・・。
日本全国ではさて、高句麗氏族はどういう割合だったかとなると、よくはわからぬが、筆者のわずかなフィールドワークや文献から知るところの知識では、高句麗系渡来人は日本海側と北関東に多かっただろうとは感じている。
高句麗系氏族は高句麗滅亡後に多く移住してきた。それは百済や伽耶系氏族も同様だが、それ以前の蘇我稲目時代以降からいくらかの移住があっただろう。高句麗式墳墓はいくつか種類があるが、方墳、積み石塚、階段式などがあげられる。
また福岡・島根・鳥取、山口、長野などに積み石塚が見られる。
今はそれしか言えない。
ただ、高句麗系氏族がほかに比べて多かったわけでもなく、飛鳥時代や奈良時代に特に多かったわけでも、また朝廷内部でとりたてて権力を持ったふうも見えない。多かったのは百済系と新羅系(秦氏・漢氏)であり、それでも朝廷では上位官吏にはなりえてはいない。
コメント
コメント一覧 (1)
日本語は多くの半島の影響を受け、思想では中国からの影響が一番多かっただろうと見える。それも百済経由が最も多かろう。
さて、高句麗の影響はどれほど日本に入ったのだろう?
まずは蘇我稲目以降、階段式方墳はそうだろうし、日本海の九州から信州あたりまで方墳が広がるのもそうかもしれないし、長野などでは積石式墳墓がそうだろう。あとはそれらを追いかければ、ほぼほぼ高句麗系難民や王族の入った地域は特定できる。
あなた、やってから高句麗の影響がどれくらいかを数値で示してからものを言いたまえ、なのである。
そして少なかった新羅移民数に対して、為政者は意外なほど新羅を意識した(当然天武以後)ことも忘れないで欲しい。
また後百済、後高句麗の復興も知ることだ。
kawakatu
がしました
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